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守られた環境から一歩出て、苦労を買いにいく~アジアの豫洲と呼ばれる日を目指して – 豫洲短板産業株式会社 代表取締役 森晋吾氏

Japan
ステンレス鋼材の専門商社・豫洲短板産業株式会社の三代目社長である森晋吾氏。社長就任以来、社内初の海外進出を実現するなど、歴史ある良き文化を守りながら、新たな事業開拓も攻めの姿勢で進めている。

豫洲短板産業株式会社  代表取締役

2015.12.29
【前編】創業83年の会社で、前代未聞の海外事業を興す – 豫洲短板産業株式会社 代表取締役 森晋吾氏

社内でも海外事業への見方が変わった

最初ひとりで始められた海外事業は、その後社内からどのような反響がありましたか?

市場調査に始まり、上海拠点設立、営業活動……と具体的なアクションを次々に起こすことで、最初は社員たちにとって縁遠かった海外展開が現実味を帯びていったのではないかと思います。私も何かある度に社内報やSNSで現地の様子などを発信していたのですが、次第に「一体どこまで行ってるの?」「なんか面白そう」といった関心の声が寄せられてくるようになりました。

今では若手社員を中心に、営業や技術職のメンバー数名が駐在や出張ベースで上海・バンコク・ホーチミンに出向いています。大阪にいれば受注も安定して、いわば守られた環境で仕事をすることができます。それが海外では、国内にいるのとは全く違った苦労をする羽目になるのです。

言語の壁から来る食い違いや、文化・習慣の無理解、またひとりでいる時間も必然的に増えるので孤独や不安に苛まれることもあるでしょう。上司である私に、泣きながら電話をしてきたメンバーもいました。そういった、共に海外事業を切り拓く仲間たち一人ひとりの成長を垣間見られることは、案件を受注したとき以上に大きな喜びを感じますね。

海外ビジネスを支えてくれた、数々のご縁

マーケットに対する危機感から始めた海外事業でしたが、この業界ではメーカーが海外進出することはあっても、流通業、しかも当社のような規模感の会社が進出するのは珍しいことなんです。本格進出から約3年ですが、その過程では社内外で多くの良縁に恵まれ、たくさんの方に応援していただいています。

中国でチタン事業が軌道に乗った背景には、現在大阪本社の海外事業部で営業を務める張 彤さんの存在があります。彼は、知人が「中国でビジネスしたいのなら、いい子がいるよ」と紹介してくれた新卒の大学院生でした。新卒といっても、一度日系企業で働いた後、日本に留学して大学・大学院まで出ているので私と同い歳。最初は通訳のアルバイトとして入ってもらっていましたが、信頼のおける彼の人柄に気づいてからは正社員として上海拠点で活躍してもらいました。中国ローカルの大手鉄鋼メーカーからの仕入れルートを築くにはそれなりの人脈や実績が必要で、当社のような外国企業には実はとても難しいことなのですが、その難行を成し遂げてくれたのも彼です。

中国現地法人の初代社長をお願いしたのは福田 覚さん。大手メーカー商社出身の業界OBの方で、最初にお会いしたのは中国での市場調査の折、福田さんは前職で現地法人社長を務められていた頃のことでした。その後、引退された福田さんが悠々自適な老後生活のためにと購入されたお宅にまで押しかけて社長就任をお願いしたところ、快く引き受けて下さいました。

2013年2月にタイ・バンコクに現地法人を設立したのですが、設立は予想外にスムーズにいきました。それも、現地で長くビジネスをしてきた、日本人経営のパートナー企業との良縁に恵まれ、設立の際に色々教えていただいたからこそのものです。

タイ法人の社長にご就任いただいた北原 一さんは、大阪本社の協力会社の社長さんなのですが「俺がやる」と自ら名乗り出てくださいました。現在53歳、「これが最後のチャレンジだ」と非常に頼もしい存在です。北原さんの会社の持つ技術と、当社の持つ材料ノウハウ、互いの強みを活かしながらタイ市場に打って出ていきます。

チタン事業は環境問題にフォーカスしていることから中国へのメリットも大きいので、中国現地でもたくさんの方に応援していただいています。

ASEANの将来性を見込んで、先行者利益を狙う

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良い出会いによってビジネスを進めていかれているのですね。
ベトナムには、どのような狙いで進出されたのですか?

東南アジア進出の足がかりとしてタイに拠点を出しましたが、シンガポール・マレーシア・タイ・インドネシアは既に発展がだいぶ進んでいる状況下で、これらの国に進出することは競合がひしめき合う中に飛び込むということです。中国進出の際も同様でしたが、当社のような規模感の会社はそういった市場ではスキマを狙う戦い方をすることになります。

一方、ベトナムに進出している同業者は、まだほとんどいません。当社のクライアントたちも材料を他国からの輸入に頼っている状態でした。そのうち「早く来てほしい」とお声がけをいただいたこともあり、先行者利益をとるべく、また将来的にASEANマーケットにおける当社の一大拠点として稼働させることを見込んで、ホーチミンに加工・在庫両方の機能を併せ持つ拠点を立ち上げました。

また次なる先行者利益をとっていくため、ミャンマーやラオスといった国々への進出も視野に入れて動き出しているところです。

今後の展望についてお聞かせ下さい。

今、社内では「アジアの豫洲と言われるようになろう」とよく話をしているんです。アジアで流通業としての営業基盤をしっかり根付かせて、東南アジア中心に拠点を増やしていきたいですね。

現在の国内売り上げは年間120億円です。これを2023年までに、海外向けプラント事業や材料の流通業によって年間売上1000億円にする目標を立てています。そして次なる10年のあいだには、鋼材の流通だけで1000億にしたいと考えています。受け身な姿勢では困難な目標値ですが、各国の人口動態やGDPを計算に入れれば実現の可能性は十分あります。そのために3年前からは具体的にプロジェクトも複数同時に動かしています。

流通業は今後どんどん垣根が低くなり、国内だけでなく海外から鋼材を調達することも当たり前になる時代が来ます。そのときまでに当社が、まず「アジアの豫洲」として地位を築いておくことが、次なるヨーロッパ・北米市場進出の第一歩となるはずと信じています。

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