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世界が注目!バングラデシュの最新ビジネス事情

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こんにちは! 杉山弥央(みお)です。 今回はバングラデシュで活躍している日系企業やビジネスを展開する上での問題点など、最新のビジネス事情についてお伝えします。

 

 大きなビジネスの可能性を秘めている国バングラデシュ

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バングラデシュ一人あたりの名目GDPは1286ドル(2015年)。世界188ヶ国中153位という位置付けです。

 

まだまだ国力が弱いバングラデシュですが、主要産業の衣料品・縫製品や、安定的な農業生産、好調な輸出を背景に、実質GDP成長率が10年に渡り約6%を保っています。また、人口が1億5000万人を超え若者の比率も高く、豊富な労働力を有しています。

 

ゴールドマンサックスが発表した、BRICSに次いで高い潜在性があるとみられる「NEXT11」にも選出され、大きな成長性を秘めた国でもあるのです。

 

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筆者がグラミン銀行インターンで訪れた村での作業の様子

 

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村では機織り機を使って作業する女性が多くいます

 

その成長性や豊富で安価な労働力を求め、日系企業もどんどん進出しており、2015年1月時点で約220社と、過去4年間で2倍以上に急増しました。進出する日系企業は、グラミングループとのジョイントベンチャー「グラミンユニクロ」などを展開しているファーストリテイリングをはじめとしたアパレルメーカー、電気電子部品やレンズ研磨といった軽工業の製造業、商社が多いです。

 

他にも、日本の若き起業家たちが、バングラデシュを舞台に立ち上げた企業をご存知でしょうか?

 

「途上国から世界に通用するブランドを」。山口絵里子さん率いる「マザーハウス」は、バングラデシュ産ジュートを用い、先進国のニーズにも通用する高いクオリティのバッグを現地工場で生産し、日本などで販売しています。バングラデシュのものづくりの底力をアピールする、代表的な日本発の企業です。

 

ミドリムシを用いバングラデシュの栄養不足問題の解決に取り組む「ユーグレナ」は、学生時代にバングラデシュを訪れ、栄養失調に苦しむ子どもたちの状況に直面した出雲充さんが立ち上げました。現在では東証一部上場も果たし、エネルギーなど多角的に事業を拡大しています。

 

また、上記とは系統が異なりますが、長く現地に根付いて開発支援を行い、バングラデシュの発展に寄与してきたJICAの存在を忘れてはなりません。JICAが残した功績のお陰で、バングラデシュにおける日本のプレゼンスはかなり大きいと感じています。事実、「バングラデシュがここまで来られたのは日本の支援のお陰」という意識をもっている現地の方々も多く、日本に対して良いイメージをもっていることが多いです。

 

成長真っ只中!注目ビジネス

バングラデシュで今後大きく伸びていくことが予想されるのは、ICTの分野です。2008年・2009年にNTT DocomoやKDDIが、現地大手テレコム会社の株式取得を行いました。この頃から、バングラデシュのICT分野への日系企業の進出に注目が集まっています。

 

特に、安価な労働力というメリットに加え、高い理系能力や英語力(国内トップ大学の学生たちのTOEIC平均は950点だとか! )は、バングラデシュの大きな強みです。その為現在は、現地で優秀なエンジニアを育て、中国やベトナム・インドに続く有力なオフショア開発拠点として注目する企業が増えてきているのです。

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筆者が現在働く会社でのシステム開発の様子

 

バングラデシュならではの課題も......

ビジネスを展開する上での問題点は、下記4点です。

 

1.電気・水道・ガス・インターネット・交通などの脆弱なインフラ面

毎日のように発生する停電やネット回線の断線、すさまじい交通渋滞で通常の倍以上移動に時間がかかったりと、仕事を中断・遅延せざるを得ない事象が頻繁に発生します。

 

2.サイクロン・洪水・地震といった自然災害による被害

国の位置的に自然災害が起きやすく、かつ就業人口の半数以上がその影響を受けやすい第一次産業に従事していることから、ひとたび災害が起こると現地の生産性に大きく響きます。

 

3.諸所手続きの煩雑さ

諸手続きの詳細が不透明且つ、然るべき問い合わせ先からの回答さえも誤っていたりするため、一つ一つの手続きを終えるのに多くの時間を要します。ただ、賄賂がまかり通る国であるため、お金さえ払えばすんなりと手続きが進むことも......。

 

4.「ホルタル」と呼ばれるストライキを含めた政治不安

野党によるストライキによって、お店や交通機関、運輸などが終日ストップすることがあり、ビジネスに影響を与えます。ストライキに加えデモも頻繁に発生し、筆者も日本大使館からの注意喚起の頻度に驚いたものです(1週間に2、3回という頻度)。

 

これらが、更なる外資企業誘致を目指す上での課題となっています。

 

筆者も実際に、働いていて信じられないような問題が毎日のように起こり、頭を抱えることがあります。しかし、同時にチャンスが転がっているブルーオーシャンを切り拓く面白さは他の国では味わえないことですし、チャレンジングなことだと思っています。

 

とはいえ、この問題ばかりの中、実際に働く際はどう向き合えば良いのか? 次回はもう少しミクロな視点で、筆者自身が日々バングラデシュで働く経験に基づいてお伝えしようと思います。乞うご期待!

 

※記事上の具体的な数値データ等は、外務省HP、JETRO HPより抜粋

 

 

ライター

杉山 弥央/Mio Sugiyama

1988年生まれ、北海道出身。異文化と触れ合い新しい世界をみることが好きで、アイスランドの留学や世界約35ヶ国への旅、また東京で国際交流を目的としたNPO「Japanize」を友人と運営した経験あり。東京、シンガポールでの勤務を経て、2016年1月にバングラデシュに移住。新しい環境で奮闘中。

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アーメッド弥央

1988年生まれ、北海道出身。異文化と触れ合い新しい世界をみることが好きで、アイスランドの留学や世界約35ヶ国への旅、また東京で国際交流を目的としたNPO「Japanize」を友人と運営した経験あり。東京、シンガポールでの勤務を経て、2016年1月にバングラデシュに移住。バングラデシュ人の夫が経営するスタートアップHishabにて、ボイスユーザインターフェースのERPを新興国マーケットに展開中。

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