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アジアで変わった「お金の価値」に対する考え方 〜ボランティアからビジネス思考への変化〜

Posted on 2015年12月11日
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アジアでの経験を通して、私の中で捉え方が大きく変わったものがあります。 それは、「お金の価値」です。今回は、そんなお金に対する私の意見を共有します。

 

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セブの観光地として有名なカワサンの滝。キャニオニングがおすすめ

 

以前インタビューの中でも少し触れましたが、

日本にいた頃の私は社会に出るのが不安で、

ビジネスやお金を稼ぐことに対しては

あまりいい印象をもっておらず

ボランティア活動への興味の方が大きい状態でした。

 

しかし、アジアを放浪しながらNPOを訪問したり、

アジアで働く日本人の方々にお話を伺ったり、

最初の就職としてアジアに出て来て事業立ち上げを行い、

週末はNPOの活動にも携わった経験によって、

次第に考え方が変わっていきました。

お金は汚いものじゃない

自分の中にある「お金」に対するモヤモヤした気持ち。

それを解明するために、就職の前後数年、

「お金って何ですか?」

と言う質問を社会人の方たちによくぶつけていました。

 

そこで多くの方からいただいた答えは、

「対価」でした。 

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モノやサービスをお金と交換してもらうには、

お金を払う価値があると思ってもらう必要があります。

そして、購入されたものはなんらかの形で購入者の役に立ちます。

つまり、等価交換は「人のためになるから成り立つ」のです。

 

アジアに出ると価格交渉の場面によく遭遇します。

面倒ではあるけれど、お互いがその価値に納得して買うなら、

「ぼったくられた!」と言うこともないはずです。

 

日本ではモノの値段が決まっているのが普通なので、

お金の価値について考える機会もなかったんだな、と

アジアに住み始めてから気づきました。 

 

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セブの海鮮市場の様子。商品には値段がついていないものも多い

 

人や状況によってものに対する価値は異なるので、

その都度交渉で決まるのは合理的だと思います。

 

価格が決まっていようとなかろうと、

もし、その価値に見合うと思わなければ、

お金を払わないだけのことです

(サービス提供が支払いよりも後の場合には、

期待値のすり合わせや、

期待に沿うサービスを提供する努力は必要ですが)。 

ビジネスの価値 = 幸せな人を増やすこと

このような考え方に変わって以来、

ビジネスはワクワクするものだと考えるようになりました。

 

商品を必要な人に届けられる上に、使ってもらえて、

お客様に喜んでもらえる可能性を秘めている。

しかも、ビジネスを生み出すことで、

雇用を生み出すこともできます。 

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お金を稼げる人が増えれば、

その人がさらに周りの人を助けることだってできるし、

より広い世界を知るきっかけにもなる。

色んな選択肢が広がります。

そこに気づいてから、

ビジネスは素晴らしいものだと思うようになりました。

 

お金をあげることに対する疑問

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インドのボランティア団体にて英語の授業をお手伝いし、帰りに子どもたちに「頑張ったね」のお菓子を配る

 

私は元々ボランティアには肯定的で、

寄付もできるなら積極的にしたいと思っていたこともあり、

いくつものボランティア団体に参加していました。

 

しかし、モノやお金をもらってばかりでは

その本当の価値は分からないし、

実際に働くことによって、

労働やお金の価値が実感できると考えていたので、

寄付行為に対して少し疑問ももつようになりました。

 

例えば、フィリピンでは、

公共バスにあたる「ジプニー」という乗り物に乗ると

物乞いの子が歌を歌って小銭を得ようとしている風景を多々見ます。

日本人の多くはそれを見て怖いと感じて、

目も合わさないようにしてしまいがちですが、

驚いたことに、私たちよりもお給料の低いフィリピン人たちが

コインを渡しているのをよく見かけます。

 

1回のジプニーで1分歌って、

4人が5ペソずつ渡すと仮定して、20ペソ(約52円)。

セブの1日の最低賃金は現在327ペソ(約850円)なので、

17回(17分)歌を歌えば、

1日8時間最低賃金で働いている人たちと

同じ稼ぎを得ることになるのです。 

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たとえ効率良く稼げるとしても、

自分をよりみすぼらしく見せる努力をしながら

歌う子どもたちは、

決して気持ち良く稼いでいるわけではないように思います。

また、お金を施す側も同情から与えているだけなので、

これは「対価」ではないお金の動きです。

 

あげる方もずっとあげてばかりではいられないし、

もらう方もこれで楽に稼げると学んでしまうと

定職に就く必要はないと考えてしまい、

一生その生活から抜け出せないとなってしまう可能性もあります。

 

また、等価交換の場合には、

商品を良くする努力を続けなければ売れ続けることはできません。

お金をもらうことに慣れきってしまうと、

そういった努力をしなくなる場合もあるでしょう。

そんな状況を、ボランティア団体を訪問した際に

しばしば見かけたこともありました。

 

もちろん、ビジネスですべての問題を解決するのは

難しい部分もあるので、

そのような領域に挑戦しているボランティア団体は

本当に素晴らしいと思います。

大きな夢に向かって頑張っており、

私もとっても応援したいと思っている団体がセブにもあります。

ただ、継続的にやるには、

ビジネスはやはり大事なひとつの方法なのだと

アジアを周って現地を見たことで気づかされました。

 

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ベトナムのボランティア団体にも参加。多国籍な環境で、多様な価値観に触れられました

 

以上、私の「お金」に対する考え方が

大きく変わった経験について共有させていただきました。

 

次回は「日本人が特殊であること」についてお届けします!

 

ライター

高寺 優子/Yuko Takadera 

東大機械工学科卒、東大院を半年で中退。南米・アジアを半年かけてバックパックし、「ガンジス川でバタフライ」を文字通り実行。強靭な体とタフさが武器。休学中にインターンとしてNexSeedの立ち上げ最初期から参画し、中退後は社員としてジョイン。現在は、経理、法務、労務、人事などバックオフィス全般を幅広く担当している。今後は、ものづくりとBOPを絡めた事業で地域の人々にも笑顔を広げたい。

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でら:)

東大機械工学科卒、東大院を半年で中退。南米・アジアを半年かけてバックパックし、「ガンジス川でバタフライ」を文字通り実行。強靭な体とタフさが武器。休学中にインターンとしてNexSeedの立ち上げ最初期から参画し、中退後は社員としてジョイン。Administrative Managerとして、経理、法務、労務、人事などバックオフィス全般を幅広く担当。約3年半務めた後、現在フランジアにて再度スタートアップ経験を積む。2017年6月からはフリーランスで慶応大学のプロジェクトにジョインし、ローカルのビジネス支援も行う予定。

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