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ビジネス視点でアジアを見たら、無限の可能性が広がっていた〜爆発的に成長するベトナムIT業界をリードする – EVOLABLE ASIA Co., Ltd. CEO 薛悠司氏

Posted on 2015年10月13日
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独立を志していた薛悠司氏は、ベトナム旅行から帰った翌日、急きょ職場に退職を願い出た。以降、ベトナムで日本市場向けのオフショア開発事業を立ち上げ、起業から約3年で会社は目覚ましい成長を見せている。

運命を感じた、ベトナム旅行

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御社の事業内容について教えて下さい。

当社はベトナムで2012年3月に設立したIT企業です。 事業は主にふたつあり、全売り上げの85%を占めるのが日本市場向けのオフショア開発、15%を占めるのが日本向けのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業です。 10名で始まった当社ですが、この3年で社員は約500名にまで増員してきており、ベトナム国内の日系法人では最大規模にまで成長しています。

なぜ短期間でそのような急成長をすることができたのですか?

オフショア開発の形式を、「ラボ型」に特化したことが大きな要因です。 これはクライアントの開発ラインを当社内に作り、クライアントと当社スタッフの二人三脚でシステム開発をしていくという手法で、これの対義語として「受託型」があります。受託型は依頼を引き受け自社で開発、完成品をクライアントに提供するという形式で、現在はまだこちらの方が圧倒的にスタンダードです。 ではなぜ当社はラボ型を採用しているのかというと、オフショア開発を希望するクライアントにとってこの手法がフィットしているからです。ラボ型開発は以前から存在はしていましたが、受託型が優勢の業界内ではあまり注目を浴びていませんでした。当社は2012年の設立時からラボ型を採用したところ早い段階でいい結果が生まれたことから、この形こそがオフショア開発の理想形なのではと私は考えています。 受託型はプロジェクトごとにメンバーが変わり、他のお客様のプロジェクトを複数兼務することが多いのに対して、当社ラボ型は当社の都合でメンバーを変えることはせず兼務もさせないのでチームの結束度が高く、中長期的な運用を考えるお客様に適した形式となっています。 具体的にはクライアントの中からひとりプロジェクトマネージャーをご選出いただき、ベトナムに来て現地で生活、仕事をしていただきます。当社はお客様の生活サポートも行いながら、当社ベトナム人技術スタッフを提供、チームを組んで一緒に開発していきます。 クライアントが常駐することでプロジェクトチームのコミットや理解度は高く、クライアント側から見れば当社スタッフをまるで自社スタッフのように育成していくことができます。しかも海外進出にあたっての会社設立や開発ラインの立ち上げの手間やタイムラグもなく、開発体制が整えられるのです。

ここまでの規模にするには、ご苦労もあったのではないですか?

当社の事業を推進する上で、「顧客からの受注」と「技術者の採用」、この両輪が上手くかみ合って回転することが肝心なのですが、設立当初はどちらかだけが空回りしているような状態のときもありましたね。 受注面では、そもそも実績がないところからのスタートでした。日本での実績があったわけではない当社にとっては顧客リストがあるわけでもなく、またラボ型が当初あまり耳慣れないのもあって最初の10社くらいまでは私とビジネスパートナー、ふたりのみの体制で営業をしていました。 実績を積み重ねてきたことで現在はありがたいことに受注面で困ることはなくなってきました。設立2年目には顧客紹介率が大幅に上がり、現在成功率が50%以下といわれるオフショア開発事業において、サービス継続率90%以上かつ増員率が80%以上と圧倒的な顧客満足を実現できたのです。当社のサービスが社会に受け入れられているという実感値が上がり、事業への確信が持てました。 日本のエンジニア不足も今後より拍車がかかると思われるので、海外オフショア開発のトレンドはより加速していくでしょう。 そこで次なる問題は人材獲得。お客様と共に開発していく優秀なスタッフが必要です。ベトナムは平均年齢が28歳と若い国で、求人広告の一番小さな広告枠でさえ出せば100件ほど応募があるんです。こう話すと採用活動はとても楽に聞こえるかと思いますが、実は全くそんなことはなく、100件応募があったうち採用に至るケースはほんのひとにぎり。当社の採用水準で言えば0と言うケースもままあります。まだまだ優秀な人材に巡り合うのは至難です。 そこで昨年は会社方針を採用面に大きく舵を切りました。 IT企業、特に日本から海外進出した企業にはたいてい開発のプロフェッショナルが来ていることがほとんどなので、人事や総務などバックオフィスのスペシャリスト層は薄くなりがちです。そのため採用も不得手とする企業が多いんです。 私は前職のリクルートで6年弱働いた経験を、採用や人事評価、企業文化形成など当社を作る様々な場面で取り入れてきました。この強みが当社の採用活動にも活きていると思います。

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薛さんの経歴について教えて下さい。

大学在学中、20歳の時に友人と起業しました。その友人が、現エボラブル・アジア(日本法人)社長の吉村です。彼は大学卒業後も会社を続けていましたが、私はリクルートに入社しました。元々独立志向があったので、会社を6年半以上勤めたら独立資金として年収1年分をもらえる「独立支援制度」を利用して辞めようと考えていました。 転機は5年目に突然訪れました。5年目のGW休暇、自分で事業をしている父にベトナム旅行に誘われたんです。それが観光目的ではなく、会社のベトナム進出のための視察旅行で。工業団地を巡ったり、立ち上げのコアスタッフとなる人材の採用面接も通訳として中に入ったりというビジネスモード全開の旅行でした。最初は巻き込まれる形で行った旅行でしたが、初めてビジネス視点で東南アジアを見た私は「面白いな」と大きな可能性を感じると同時に、ここでビジネスをしていくイメージが沸いたのです。 それでベトナムから帰国してからの次の出社日、上司に「辞めます」といきなり宣言しました(笑)。当時5年目で、あと1年半もしたら独立支援制度が使えると考えていたので、前倒しの退職宣言には周囲も驚き「お前、どうしたんだ!?」と最初は心配されました。 結局当時は仕事も重要なポジションにいたため立ち上げ準備をしながら引継ぎなどして、5年9ヶ月で退職しました。あと9ヶ月したら支援制度が利用できたのですが、それでは時間がもったいない。9ヶ月の時間を年収1年分で買えるのなら、とアクセルを踏みました。 2011年にまずは製造業の会社を立ち上げ、その後EVOLABLE ASIAを起業しました。他にもフィリピンやタイ、シンガポールなどで事業もしていますが、現在最も力を入れているのがベトナムの当事業で、今後の伸びしろの大きさに可能性を感じています。

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