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得意なことを活かして適材適所で働くことで、世の中の幸せ量を増やしたい〜株式会社クックパッド 奥村祥成さん〜

Posted on 2019年10月28日
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「毎日の料理を楽しみにする」というミッションのもと、料理レシピの投稿・検索サービスを運営するクックパッド株式会社の新卒1期生として入社した奥村祥成さん。入社3年目にCookpad Indonesia に出向し、“Bakeasy”というベイキングカフェの新規事業立ち上げをされました。クックパッド入社に至るまでの経緯や、「海外志向はなかった」と語られる奥村さんがインドネシアに出会ったことで、ご自身の中に生まれた変化について伺いました。(取材:2017年)


 

クックパッドへの入社面接を、役員に直談判した


――クックパッドに入られたきっかけについて教えて下さい。 


奥村さん:大学3年時に、知人が始めた漢方に関するWeb事業でアルバイトをしていて、その会社がクックパッドに買収されたことがきっかけです。代表と私の2人でサイト運営をしていたので、お互い言いたいことをストレートに言い合う仲だったのですが、その様子を見たクックパッドの事業部の方に「面白い学生がいる」と思ってもらえて、クックパッドでもアルバイトをするように。


その後、大学院に進学しつつアルバイトを続けていたのですが、仕事によって得られる体験の方に魅力を感じ、中退を決意。通常の就職ルートではなく、当時のクックパッド役員に「ここで働きたいので、面接をしてほしい」と直談判して入社に至りました。


入社1年目は会員事業部でサービス開発を担当し、ほぼひとりで会員向け新規アプリのディレクションやプログラミングをしていました。ひとりで作業をしていると、終わりが見えない状況に諦めそうになることも。それでも食らいついた結果、アプリをリリースできたことは自信につながりましたね。


 ただ、仕事内容が評価された一方で、社会人としてのマナー面の改善を上司から指摘され、その部分を鍛えるために入社1年後に広告事業部へ異動しました。ここでは営業担当としてクライアントに対する企画提案などを行いました。


クライアントやユーザーが抱えるニーズや悩みを直接聞き、その解決を広告によって提案するという仕事はとても楽しかったですね。お菓子会社と共同開発したシュークリームが発売された時は感動ものでした。この事業部でお金を生み出す仕組みづくりをした経験は、今でも役立っています。


東南アジアの貧富の差を見て、「テクノロジーの力によって、もっとできることがある」と感じた


――その後、広告事業部から海外事業部へ異動されたのは、海外で働きたいという思いを持たれていたためでしょうか?


奥村さん:自分が価値を出せる場所で働くことが大事だと思っているので、場所に対するこだわりは特に持っていませんでした。海外事業部に異動したきっかけは、入社3年目の株主総会で「海外に注力する」という方針と、それに伴い新卒入社の希望社員に海外研修をさせる「プログレス」という制度が発表されたことでした。


当時は経営体制の大きな変更によって、慕っていた役員や上司が退職し、私も会社を辞めるか悩んでいたんです。でも、どうせ辞めるのであれば「ひとり卒業旅行」のつもりで、この制度で海外に行こうと決意。


早速、株主総会の後の飲み会で社長にプログレスに参加したいと伝えると、翌日には海外担当の役員とのミーティングが設定されてプログレス第1号として派遣されることになりました。


そして、年末からインドネシアのジャカルタオフィスに研修として1ヶ月行き、その後タイのバンコクに移動して現地メンバーと共にレシピサービスのユーザーコミュニティ構築に取り組みました。


東南アジアに初めて身を置き、実際に自分の目で貧富の差を見たことで、「テクノロジーの力によって、もっとできることがあるのではないか」「現地の人たちが、自分の得意なことや好きなことでもっと稼げる仕組みを作りたい」と思うように。


そして、その思いを実現すべく帰国後に海外事業部への異動を希望し、20178月から海外事業部の中で一番ユーザー数が多いCookpad Indonesia に出向しました。


――インドネシアではどのような事業を行われたのでしょうか。


奥村さん:Bakeasyというベイキングカフェの立ち上げをし、ジャカルタに1店舗オープンしました。インドネシアでは家庭でお菓子作りをする習慣がほとんどありません。そこで、手軽にお菓子作りを楽しむことができる空間を作り、これまで料理をしなかった人にも料理を楽しんでもらうきっかけを提供しようと思ったのです。


元々は台湾で流行していた事業モデルだったのですが、東南アジアの中で市場規模が大きいインドネシアであれば、今後の成長可能性が期待できると考えました。インドネシア拠点はスタッフ10人のうち日本人は私ひとりだったのですが、事業をするにあたって何人かは関係なく、どうすれば自分自身が持っているものを事業に活かせるかが常に課題でしたね。


「これが好き」という強い気持ちを持っている人を、応援したい


――東南アジアに身を置いたことで、ご自身の中に起きた変化があれば教えて下さい。


奥村さん:「得意なことを活かして適材適所で働くことで、結果として世の中の幸せを増やしたい」という思いを持つようになりました。私は、世の中を変えたり世界をより面白くしたりするのは「これが好き」という原動力を持っている人だと考えています。


たとえば、野球が上手いだけの人の姿に、人々が感動させられるかはわかりません。「これが好き」「こうしたい」という強い思いを持って無我夢中に突き進む姿に、人は感動して引き込まれていくのだと思います。クックパッドのサービスを運営する中で、「料理がとにかく好き!」という人に大勢出会ってきました。


私自身は器用貧乏で、ある程度色んなことができてしまうタイプなので、そこまで夢中になれることがありません。そういう原動力がある人が羨ましいと思う反面、一歩引いた視点を持てる自分だからこそ、好きという気持ちで突き進む人たちのサポートができると思っています。


東南アジアで働いて様々な環境を経験したことで、この考えはさらに強くなりました。私は私の立場から、世の中が幸せな方向に進めるような事業に今後も携わっていきたいです。


 


【プロフィール】
奥村祥成(Yoshinari Okumura
クックパッド株式会社
2008年東京大学入学。学部を5年間で卒業し、大学院を1年で中退。2014年にクックパッド株式会社に入社後、会員事業部に1年広告事業部で営業担当を1年半経験。201611月から20173末まで研修派遣でインドネシアとタイへ。帰国後は海外事業部に移動し、20177月からCookpad Indonesiaにて新規事業Bakeasyの立ち上げを行った。20193月に帰国。


経験した日: 2017年10月02日

Ambassadorのプロフィール


濱田真里

海外で働く日本人に特化した取材・インタビューサイトの運営を2011年から続けている。その経験から、もっと若い人たちに海外に興味を持って一歩を踏み出してもらうためには、現地のワクワクする情報が必要だ!と感じて『ABROADERS』を立ち上げる。好きな国はマレーシアとカンボジア。

濱田真里さんが書いたノート


インドネシア に関するノート