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経験して感じ方が変わった、「宗教」というもの。【突撃!隣の彼女の海外ライフ】

Posted on 2017年06月16日
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宗教。


日本で生活していた時は、ほぼ考えることがなかったものだし、むしろ勝手に恐いイメージすら抱いていたもの。


それが、世界中の人々の間ではこよなく意識されているもので、心の拠り所としてあり、宗教をベースに日々や一年を送っている風景を、私はバングラデシュに来てから知りました。


厳かな祈りの風景も、じっと佇む偶像たちも、理解しがたい宗教行事も…まっすぐ見られなかったものもあったけれど、今はどれもそれぞれ美しく、感慨深く見つめられるようになりました。


そんな宗教への抵抗感を払拭してくれたのは、宗教に対して曖昧な日本人の私も気兼ねなく祭に誘ってくれた


バングラデシュにいる'イスラム教徒の友達'、'ヒンドゥー教徒の友達、'キリスト教徒の友達'、'仏教徒の友達'、'アニミズム(精霊信仰)'の友達です。


今、過激派と呼ばれるものもあったり、宗教の違いで起きる悲しい諍いも絶えないけれど…


宗教が国を彩る!という私の見方から、今回は少しお伝えできたらと思います。


第3回目を書いてる今、ビザの関係で私は一時帰国中ですが、その間に現地の大好きな村では、宗教や民族の異なる人々どうしの衝突が起きてしまいました…今回バングラデシュの「宗教」をテーマに選んだのは、みなさんに共有しながら、自分もそれぞれの宗教の良さがあることを再認識したかったから。その詳細や、1つお願いごとをFacebookの方にも書いているので、良ければそちらも見ていただけたら幸いです。


https://www.facebook.com/sum.mer.maid/posts/1268751553222461


 

イスラム教徒の断食月「ラマダーン」

「ラマダーン」とは、イスラム教徒の宗教行事「断食月」のこと。そして「断食」のことを、バングラデシュでは「ロジャ」と言います。


ラマダーンは約一ヶ月間に渡る行事で、一日の夜明けから日没までロジャをし、禁欲を心がけるひと月を送ります。


深夜3時頃(夜明け前)に「セハリ」という食事を取り、次に飲食を許されるのは日没のだいたい6時頃の「イフタリ」という食事…なので日中のダッカの街は、いつものような活気も消え、働いている人たちもぐったり気味となり、体力温存のためか動かない人々も…やはり、ちょっとしんどそうな印象がある行事です。


しかし、イスラム教徒の友達は、私にロジャではなく「明日の『イフタリ』一緒に食べようよ!」とよくお誘いをしてくれます。


正直私は、断食する日があったりしない日があったり、一応公共の場では飲食しないとか、一緒にいる友達が私に「遠慮せずチャ飲んで!」と言ってくれても「イヤ!一緒に飲めるまで飲まない!!」と共有を心がけたりするくらいなのに…


この楽しい解禁の瞬間は一緒にしよう!というのが優しくて、イスラム教行事へ触れてみやすさとなって…


日没が近付く頃、道で売り出し始められるイフタリをみんなで買い込み、ダッカ大のキャンパスに座り込んで「アザーン」(お祈りの音声放送)と共にイフタリ開始を待つ…この時間が好きになり、ラマダーンは辛そう!イスラム教は過酷?という強い印象が、少しゆるりと楽しい感覚に変わるきっかけとなりました。


 

↑ イフタリメニュー: トルカリ(カレーのこと)、ナン、チキン、卵やジャガ芋の揚げ物、ジェラピー(カリン糖のようなもの)など。本当はもっと種類があったり、レストランでは綺麗なプレートセットになっていたりもするので、私たちはこの写真のセットを「ダッカ大生のイフタリ!」と呼んでいます。


※バングラデシュのイスラム教の宗教行事


コルバニ・イード(犠牲祭)、ビッショ・エスティマ 他

ヒンドゥー教徒の春祭り「ホーリー」

「ホーリー」とはヒンドゥー教徒の宗教行事で、春の訪れを祝うもの。


バングラデシュでは90%のイスラム教徒に次いで、ヒンドゥー教徒が9%を占めます。なので、ヒンドゥー教のお祭も大々的に行われます。(※残り1%となる宗教行事の開催機会が少ないことが、逆に嘆かれている…)


私はまだホーリーに参加したことはなく、上の写真は、仏教徒の友達がヒンドゥー教徒のホーリーを楽しんだ時にシェアしてくれたもの。


また、私は実は、ずっとヒンドゥー教の偶像に恐い印象を持っていたのです。だってヒンドゥーの偶像って、手がいっぱいあったり、顔色が緑色で悪かったり、血が飛び散っていたり、ガネーシャ(象の顔の神様)もちょっと恐いオーラを放っているから…


しかし、それもある時、ダッカ大生が学部ごとにこれらの偶像を制作して、ヒンドゥー教徒の子たちの学生寮前に展示するイベントに誘われて、案内してもらって以来…ちょっと身近に感じて、アート的にも見えてきて、印象が変わるきっかけとなりました。


 

※バングラデシュのヒンドゥー教の宗教行事


ドゥルガ・プジャ 他

キリスト教徒の聖祭「クリスマス」

クリスマスは、日本人もよく知っているもので、この行事に抵抗感を抱いている人はいないと思うけれど…それでは、「ミサ」に行くことはどうでしょう?おそらく本来は、この日に教会へミサに行き、司教さんの説教を聞いて、祈ったり、賛美歌を歌ったり、子どもたちの歌を聞いたり…それが宗教的なクリスマスの行い方かもしれません。だから、私はここで、逆に日本のものとは違うクリスマスの神聖さを知りました。


きっかけは、やっぱりキリスト教徒の友達が「クリスマスが僕たちの一年で一番大きなお祭だから来て!」と、村の実家に招待してくれたからです。


一緒にミサに行き、見よう見まねで 「アーメン」と頭を垂れる…そんな私を、彼らは決して中途半端!と責めたりはせず、来てくれてありがとう!知ってくれてありがとう!と言ってくれる…そんなことで喜んでくれるなら、いくらでも歩み寄るよ!と私は思うけれど、宗教と宗教ではそれが難しかったり、抵抗があったり、尊重ができなかったり…悲しいことには、他宗教の偶像や建築物を破壊する行為に至る事件も起きてしまいます。


バングラデシュではイスラム教徒が多くて、彼らは国内で生き辛さはあまりないけれど、外国や私たち日本人から見られた時に、イスラム教がやっぱり少し恐いイメージを持たれていて辛い気持ちかもしれない…


また国内では、1%のキリスト教徒・仏教徒が抑圧を受けて、彼らは実状生き辛い環境にある…


いつかバングラデシュが、外国から見ても、そこに暮らしていても、宗教と民族の多様性のおかげで美しいね!幸せだね!と言われる国になったら…と願い、自分はどんな役目ができるかと考え続ける日々です。



↑ ミサの様子


 


※バングラデシュのキリスト教の宗教行事


イースター、ワンガラ(収穫祭) 他


 

↑ クリスマスとハッピーニューイヤーを祈って、キリスト教徒のガロ民族の子どもたちと歌い踊り明かした夜。

↑ 仏僧の説教を聞きに。「お説教」だし、全部内容も分からなかったのに、人の集まるあたたかさとみんなが笑っていたせいで、私も楽しく感じてしまった。


※バングラデシュの仏教の宗教行事


ブッダ・プルニマ、コティン・チボール・ダン   他

経験した日: 2017年06月11日

Ambassadorのプロフィール


NatsumiA

1985年生まれ、青森県育ち。日本大学藝術学部映画学科在学時に、ドキュメンタリーの課題制作がきっかけでバングラデシュを訪れる。卒業後、映像制作会社の勤務を経て、2014年より単身でバングラデシュに暮らし始める。主な活動地は、チッタゴン丘陵地帯や国境沿いの地域で、少数民族と深く関わり、写真・映像制作を行っている(ドキュメンタリー作品『One Village Rangapani』【国際平和映像祭2015 地球の歩き方賞 および 青年海外協力隊50周年賞受賞】、写真集『A window of Jumma』【クラウドファンディング】など)。現在は、ロヒンギャ難民キャンプにも活動を広げ、ChotoBela works という現地団体を立ち上げ、バングラデシュの子どもたちの "子ども時代 / チョトベラ" を豊かに彩ることを目標に、移動映画館(World Theater Project バングラデシュ支部代表)、アートクラス、カメラ教室、スポーツデイなどを開く。また、バンドルボン県で、クミ族とムロ族の子どもたちが寄宿するキニティウという学校をサポートしている。

NatsumiAさんが書いたノート


バングラデシュ に関するノート