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給与から見る、ベトナム人の職業観

Posted on 2015年12月14日
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ベトナム人の新卒の月給はどのくらいか分かりますか? ネットなどでは調べずに、まず予想してみてください。

なんと、新卒の月給は300~500USドル程度

日本であれば、アルバイト1週間程度で稼げてしまう金額です。

だからと言って

「日本と比べて物価が安いから、

給与が低くても大丈夫でしょ!」とは思わずに、

ベトナム人の月々の支出について考えてみてください。

 

・家賃:50~100USドル

 (エアコンのない部屋に4人くらいで住む場合も多いため、

  この額は低く抑えられている)

・食費:150USドル

 (1日5ドル程度の計算ですが、これでは外国料理は食べられません)

・交通費:25USドル

 (基本的にタクシーは使わずに、バイクのガソリン代として消える)

・交際費:100USドル

 

こうして最低限でもかかるコストを計算すると、

合計325USドル……月給ギリギリなんです。

 

これではまったく贅沢はできず、

貯金すらろくにできませんよね。

節約するにも交際費を削るか、

外食を控えるくらいしか方法がありません。

ダブルワークで能力をフル活用

yoshikawa12_3

出典 HUY NGUYEN on Flickr

 

そのため、正社員で働きながらも

副業をしてダブルインカムを得ている

ベトナム人も少なからずいます。

 

例えば、日本語が得意な人なら日本語の家庭教師や、

ベトナム訪問した日本人の通訳兼アテンドをしたり、

土日に時間のあるエンジニアであればフリーランサーとして

現職とは別のプロジェクトの委託開発を行うこともあります。

中には副業の方が割に合うと感じ

本業を疎かにする人もいるとは聞きますが、

就業規則上は副業を禁止しない会社が

ベトナムには非常に多いのです。

 

このような事情があるからでしょうか、

なんと言ってもベトナム人はお金にシビア

 

中国人と同じく、給与明細を同僚同士で公開し合うため、

周りと自分の給与の差額を把握しています。

給料日や昇給の時期になると

ベトナム人スタッフは悪びれもなく

私に給与を聞いてくるくらいです(笑)。

 

もちろん、社内に限らず社外の人々とも

給与を見せ合います。

「隣の芝生は青い」がごとく、

「同じ年齢・同じ就労経験年数なのに、

どうして隣の会社とは給与が50USドルも違うんだ!」と

言った不満も生じやすいのです。

 

少しでも給与が高くなるなら、転職を考える

 yoshikawa12_4出典 Rha Tony on Flickr

 

日本では近年ようやく

心理的抵抗が減りつつある「転職」も、

ベトナム人にとってはより身近な選択肢のひとつ。

と言うのも、転職が給与を上げる手っ取り早い方法だからです。

 

基本的に昇給は年に1回か2回

(多いところでは四半期毎にありますが、それは稀)。

ただ毎回どれだけ上がるかも不透明なため、

現職よりも確実に50USドル上げられる転職先があれば、

それが転職を後押しする強力な理由となりえます。

 

ここでは、安い給与に誰も満足などしません

能力が高い人に高い給与が与えられるのは

自然なことと捉えているので、

語学に限らず、

リーダーシップ、企画力、営業力などを研磨しようと

努力する必要があるのです。

 

ベトナム人の転職理由でよくあるものをシェアします。(順不同)

 

・給与UP

・現職における人間関係が良好ではない

・会社までの距離が遠い

・身内の不幸

・より自己成長できる環境を求めて

・現職に残業が多い

 

これらが転職理由として挙がる背景には、

彼らの価値観が大きく関係しています。

 

第一に「自分と家族」をとても大事にします

その次に「友達」

最後に「仕事」と言う順番だと認識すれば、

彼らとも関わりやすくなります。

 

職業観の背景に歴史あり

yoshikawa12_1出典 Francisco Anzola on Flickr

 

これにはベトナムの歴史も関わっているように思えます。

1986年からドイモイ政策が開始されるまでは、

マルクス、レーニンの思想を取り入れた社会主義国家でした。

頑張りにかかわらず成果は同じと言う環境下では

仕事を優先するより自分や家族・友達が

生活の中心になるのは不可避でしょう。

 

その結果、今でもベトナム人のあいだでは

その風潮が色濃く残っています。

家族が病気になれば突然仕事を辞めますし、

友達が熱を出したから看病すると言って

いきなり休みを申し出ることもしばしば。

経営者からしたら頭が痛い悩みですよね。

 

また国民の約半分が農業従事者と言う農業国。

冬もなく年中作物が獲れるのでマイペースに仕事ができることも

現代のベトナム人の労働観を生み出すのに

関係しているのではないかと思います。

 

そんなベトナムも、

2020年には工業立国を目標に掲げていますが、

達成できるかどうか個人的には甚だ疑問です。

 

外国人も驚く、ベトナム人優秀層

yoshikawa12_2出典 VanLap Hoàng on Flickr

 

こう話すとベトナムにはのんびりした人も多いと

思われるかもしれません。

 

実際は、日本語と英語を巧みに操り、

社内ではプロジェクトマネージャーでありながらも

外部からの委託だけで現職の給与を超える報酬を得ている人や、

ベトナムの代表として指揮を取りつつも海外を飛び回り、

プロジェクトを回しまくる設計士さんなど……、

目を見張るほど優秀なベトナム人は私の周りにもたくさんいます。

 

現在は幸い日本人の方が相対的に給与を高くもらえていますが、

近い将来、逆転現象が多発してくるのではないか

個人的には思っています。

なぜなら日本の年収平均は毎年右肩下がりで、

ベトナムでは上がる一方だからです。

国際社会では国籍によって給与は決定しませんし、

気づけば上司がベトナム人なんてことも将来的にはありえます。

 

日本人としてのプレゼンスは自分たちで作り上げるものです。

トヨタやホンダ、ソニーなどを作り出した

過去の偉大な諸先輩方の恩恵に預かれる時代も、

もう終わりかもしれません。

 

彼らに負けないよう、

自分自身も危機感をもって成長していきたいものです。

まずは若い我々から変えていきましょう!

ライター

吉川 真人/Makoto Yoshikawa

同志社大学卒業。17歳の時に3年間一言も話さなかった父親と死別し、思ったら即行動を心掛けるようになる。大学3年時に休学し、1年間北京に留学をする。その結果、早くから海外で経験を積む事を心に決める。紆余曲折があり、現在ベトナムの某人材紹介会社で修行中。鎖国した日本を開国させることが目標。

何か聞きたいことがある方は、どなたからのメッセージも返事いたしますので、ぜひ直接ご連絡していただければ幸いです! Facebook:Makoto Yoshikawa

 

 

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Ambassadorのプロフィール


吉川真人

人がやらないことをやることに意義を感じる若者。 中国とベトナムをかなり旅行したのでマコトリップアドバイザー実施中 生い立ち 京都府向日市出身。 6歳から18歳は滋賀の“ど”田舎で過ごす。 2009年同志社大学文学部英文学科入学。 大学3年時に休学し、1年間北京の中国青年政治学院に留学。 3ヶ月ほどで日常会話以上のレベルに達し、簡単な通訳を務める。 その結果、早くから海外で経験を積む事を心に決める。 2014年同志社大学卒業。 卒業後ベトナムに移住

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