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バングラデシュの子どもたちへ、映画を!~移動映画館編2~ স্বপ্নের যাত্রা শুরু: একটি বাশের ঘরে চিত্রায়ন

Posted on 2018年11月26日
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「生まれ育った環境に関係なく子ども達が人生を切り拓ける世界をつくる」という理念のもと、途上国の子どもたちに移動映画館で映画を届けるNPO「World Theater Project」。


その活動に携わる私ですが、前回に続き、現地語版吹き替えアニメ『ハルのふえ』をもって、9月10日から一週間巡った移動映画館の後編についてお伝えします。


 


■前回記事リンク:バングラデシュの子どもたちへ、映画を!~移動映画館編1~


 


回った地域は、前回訪問した場所のお隣、チッタゴン丘陵地帯のバンドルボン県です。


 


 

1.約束を果たしに

バンドルボン県を訪れたのは、今年4月に初めての移動映画館を行ったボム族の村の学校です(過去記事リンク)。


あの頃私はまだ、8分間のクレイアニメ『フィルとムー』一本しかもっておらず、「もっと映画を観たい」というリクエストに応えることができませんでした。別れ際、「もっと観たかった……」と切なそうに言ってきてくれた子に、「今度はもう少し長い、ベンガル語のセリフのものをもって来るから!」と約束していたので、5ヶ月の時を経て、ついにまたやって来たのです。


前回は祝日に訪れてしまったので村の子どもたちは私服でしたが、今回は可愛い制服姿で迎えられました。


 


映画を観る前、子どもたちは校舎の前でビー玉遊びに夢中。マーブルケラという遊びで、バングラデシュの子どもたちに人気の遊びです。


ここで校庭と書かず「校舎の前」としたのは、日本の学校の校庭とは様子が違って殺風景なためです。バングラの子どもたちは自然から遊びを見つけられる想像力豊かな子たちだけれど、もう少し何か設備があっても良いのでは……と個人的には感じます。


 


映画を観た後、再会を祝し『フィルとムー』ステッカーを渡しました。待っていてくれてありがとう!


 


 

2.お気に入りの一校

ボム族の村の学校を経て、ここはムロ族の村の学校。こちらも半年前に訪れた、私にとってお気に入りの一校です。


ムロ族は、チッタゴン丘陵地帯に暮らす11民族の中でも最も原始の様式を残しているといわれる人々です。今でもアニミズム(精霊信仰)が息づき、自然界の事物に霊魂や精霊が宿ると考え、諸現象はその意思や働きかけだと見なしています。村では、お母さんが赤ちゃんを布で包み胸と背中の両側で抱えている姿や、時には上半身裸で自然美と母性溢れる姿のお母さんに出会うことも(赤ちゃんは丸裸)。原始的で、とてもきれいだと私は感じます。


 


写真に映る、子どもたちの耳飾りやビーズアクセサリー、髪に生花を結わえるのもムロ族らしさがいっぱいです。


一方で最近は、キリスト教への改宗する人も見られるようです。現状の貧しさが理由のひとつだそうで。宗教や政治のことを私はここで強く言いませんが、大好きな彼らには幸せな方向へ進んでいってほしいといつも思っています。


 


 

3.雨模様

同日、もう一校で移動映画館をする予定でしたが、突然の雷雨が。いつもなら一時間以内にはおさまるところ、長く続いたので移動映画館は翌日に変更して、私は学校のそばの村で雨宿りをしました。


おじいさんは、縁側で竹細工を編み。おばあさんは、竹の家でストールを機織り。子どもたちは裸で水浴びしながら駆け回り、赤ちゃんは竹のゆりかごで丸く眠る……。
停電する中、お母さんがろうそくを灯し、お父さんは桶で雨水を溜め、本格的な雨のシャワーで行水する向かいの家の人……そんな風景がありました。


あいにくの雨模様で、移動映画館の予定は変更。それなのに、この地で起こることのほとんどが愛おしいと感じた瞬間でした。


 


 

4.制服コレクション

ボム族の子どもたちの学校で、翌日は快晴の中移動映画館を行いました。


都合上、一時間目が始まる前の上映となってしまい、寝起きで子どもたちは眠いのではと心配していましたが、上映の後日、この村の友人から、子どもたち数人の写真と一緒に「子どもたちが『次は映画館いつ来るの?』って聞いてくるよ」というメッセージが届き、喜び且つ安心したのでした。


移動映画館で学校を転々とするようになったことで、バングラの小学校の制服も色々種類があって可愛いことにも気がつきました。しつこいくらいに写真を撮りためています(笑)。


 


 

5.念願だった、ある村への移動映画館

今回の移動映画館巡業のラストは、トリプラ民族の村でした。


首都ダッカからこの村へ行くには、まずバスで9~10時間。バンドルボンの町から、軽トラックのような車でガタガタ道の丘陵地帯を登ること30分。そして、歩くしかない道無き道(無いようで有る)の坂道を登り下りして歩くこと一時間……という距離です。バングラデシュにはもっと奥地が存在するので、現地の友人たちからは、これでもまだ「町中」と言われるでしょう。主にカメラ係をしてくれるムロ族の友人とふたりで荷物を分担して、進みました。


村に到着し、「カルバリ」と呼ばれる村長のもとへ行き、移動映画館でアニメを上映したいことを話しました。ここでついに、私の念願だった「村へ移動映画館がやって来た!」的なシチュエーションが初めて叶ったのです!


 


 

6.村長さんのアナウンス

村の集会所は、この地の伝統建築。外からの光が編み目を通してキラキラ射し込み、若干涼しくも感じる竹造りの家は、私がいつか自分で住みたいほど。そんな竹の家での上映会なんて、まさに私の夢のひとつでした!


カルバリ(村長さん)は、突然大きなメガホンを窓の外に突き出し、アナウンスをしました。「日本のカートゥンが来たぞ。今から集会所で上映だ」と言い放ち、その後私に「観たい人は来るし、そうじゃない人はそのまま過ごすだろう」と言いました。


ムロ族の友人はカメラ係なので、設備を立ち上げるのは私だけ。暑さに加えて、緊張で目に汗が流れ込んできて痛いほど。でも、何よりこの状況に胸がトキめいていました。


 


 

7.竹造りの映画館 

何度か移動映画館を行ってきて、いくつか分かったことがあります。バングラデシュでは観客が徐々に集まること、現地の人にウケるシーンの好み。上映中は話もするし、合いの手も入ったりすること。エンドロールまであまり観ないこと……。経験を通して、私もどう振る舞えばいいか、だんだん見えてきました。


村長さんの言葉はそっけないものでしたが、自身のこれまでの経験を信じて上映をスタートすると、トリプラ族の村人は本当に徐々に集まってきました。外から観る人もいました。


そのうち数人は「ミーナ カートゥン」と、アニメのことを呼んでいました。ユニセフが以前、「For Every Child」を掲げたMother Language Project として『ミーナ』というアニメをベンガル語、チャクマ語、マルマ語、トリプラ語で作ったことがあったため、トリプラ族の人たちはアニメ全般を「ミーナ」と称するようです(最初はバングラの国語、後者3つは少数民族語)。


ミーナは主人公の女の子。この『ミーナ』、よくできたことに宗教背景を意図的になくしていて、イスラム教徒のベンガル人も、仏教徒のチャクマやマルマ族も、ヒンドゥー教徒のトリプラ族もさらりと観ることができるボーダレスなアニメなのです。


バングラデシュという途上国の、そのまた少数民族という一部のコミュニティで、言語や宗教、物語背景などから「自分たちのために創られた」と感じられる作品に出会うことで、自分たちも特別な存在であると感じられる子どもが増えたらいいなと思います。


 


話はそれましたが、気がつけば、竹の映画館は満員となっていました。


 


 

8.「みんなと、みんなの、希望のあかりよ♪」

ここでも上映したのは持参したアニメですが、こうしてみんなで心をひとつに映画を観ている様子は、ひとつの映画を私に思い起こしてくれます。『LIGHT UP NIPPON』。これは東日本大震災の夏に人々を元気づけるために打ち上げられた花火のドキュメンタリー映画なのですが、エンドロールで流れる歌に、この小見出しの歌詞があります。花火を見上げる姿、映画スクリーンに見入る姿……。時間と空間と気持ちを共にする人たちの顔の美しさがオーバーラップして、いつも心打たれます。


 


映画を観に来たおばあちゃんがうちわを貸してくれました。私が涼むために貸してくれたのでしょうが、私はおばあちゃんや子どもたちに少しでも心地良く映画を楽しんでほしくて、50分間の上映中ずっとうちわを彼女らに扇ぎ続けました。これもまた思い出になります。


この村へは、ちょうど一年前にも訪れていました。その時は、トリプラ民族伝統の、幾重にも首に巻くビーズオーナメントを作るところが見たくて来たのですが、ここの人々に心から受け入れられてないなと感じました。でも今回、一本の映画を一緒に観た後で記念撮影をすることになったのですが、子どもたちはともかく、以前は写真に写りたがらなかったビーズ巻き巻きのおばちゃんたちまで笑顔で写ってくれたのです! しかも乗り気だったことが嬉しくて……こういったことが、この活動の私への報酬です。


 


またここへも来たいし、映画をまだ見ぬ人たちにも届けたいし、映像は作りたいし……私の夢は続きます。


最後に、大好きな片渕須直監督がこの移動映画館プロジェクトへ応援文を寄せてくださったので、それを共有させてください(外部リンク)。

経験した日: 2018年11月26日

Ambassadorのプロフィール


NatsumiA

1985年生まれ、青森県育ち。日本大学藝術学部映画学科在学時に、ドキュメンタリーの課題制作がきっかけでバングラデシュを訪れる。卒業後、映像制作会社の勤務を経て、2014年より単身でバングラデシュに暮らし始める。主な活動地は、チッタゴン丘陵地帯や国境沿いの地域で、少数民族と深く関わり、写真・映像制作を行っている(ドキュメンタリー作品『One Village Rangapani』【国際平和映像祭2015 地球の歩き方賞 および 青年海外協力隊50周年賞受賞】、写真集『A window of Jumma』【クラウドファンディング】など)。現在は、ロヒンギャ難民キャンプにも活動を広げ、ChotoBela works という現地ボランティア団体を立ち上げ、バングラデシュの子どもたちの "子ども時代 / チョトベラ" を豊かに彩ることを目標に、移動映画館(World Theater Project バングラデシュ支部代表)、アートクラス、カメラ教室、スポーツデイなどを開く。また、バンドルボン県で、クミ族とムロ族の子どもたちが寄宿するキニティウという学校をサポートしている。

NatsumiAさんが書いたノート


バングラデシュ に関するノート