ABROADERS

  • HOME
  • 【バングラデシュのリアルを覗こう】イスラム教と共にある生活

【バングラデシュのリアルを覗こう】イスラム教と共にある生活

Posted on 2015年11月09日
0
12656

バングラデシュ担当のみんりです。第3回目となる今回は、バングラデシュの生活に根付いたイスラム教に ついてご紹介したいと思います。

イスラム教とバングラデシュ

「ア~~ア~~ア~アア~ア~~~~~」

 

バングラデシュに赴任して2日目の明け方、

家の近くのモスクから大音量で流れる音声で飛び起きました。

「アザーン」というこの音声は、

ムスリム(イスラム教徒)が

1日に5回礼拝を行う時間の前に、

「もうすぐ礼拝の時間だよ」と呼びかけるものです。

 

この礼拝の時間になると、

多くの人がイスラム教の聖地であるサウジアラビアの

メッカの方角を向きお祈りをします。

「お祈りの時間だから、ちょっと待って」と仕事が中断したり、

職場に当たり前のように祈祷室などのお祈りの場所が

確保されているのを目にしたりすることもしばしば。

 

minri3_1

アザーンが鳴ると急いでモスクへ駆け込む人たち。お祈りの前には必ず足を清める

 

 

日本では通常、休日は土・日曜ですが、

イスラム教徒が多数派であるバングラデシュでは

金・土曜が休みとなります。

日系企業を含む多くの外資系企業も、

現地の習慣にならって金・土曜を休日にしていました。

 

このように、

人口の約90%がイスラム教を信仰するバングラデシュでは、

現地の人々と一緒に働いたり生活をしたりすることと

イスラム教を知ることは、切っても切れない関係なのです。

 

 

持つ者が、持たざる者へ

バングラデシュ、特にダッカ市内を歩いていると

よく目にするのが道端で物乞いをする人たち。

 

小さな子どもの時もあれば、

身体に障がいをもった人だったり、

乳飲み子を抱えた母親だったりする時もあります。

 

交通渋滞の多いダッカ市内では、

停止中の車やCNG(天然ガスで走る三輪タクシー)に対して

窓の外から施しを求める人々がたくさんいます。

 

minri3_2

CNGの窓から施しを求める物乞いの子ども。CNGが動き出すと走ってついてくることも

 

 

ここで金銭を渡すか渡さないかは個人の価値観によりますが、

バングラデシュ人の同僚や友人はよく施しを渡していました。

 

イスラム教の五行(義務として課せられた5つの行為)の中には、

「喜捨」という、進んで金品を寄付する行為が含まれており、

貧しい人や困った人に手を差し伸べることは

彼らにとってはごく自然なことなのです。

 

minri3_3

貧しい人たちのために綺麗な水を常に提供している富裕層向けマンション

 

余談ですが、

昨今過激な原理主義者などの起こす事件と共に

取り上げられることが多いイスラム教ですが、

本来は他の宗教に対してとても寛容な宗教です。

 

バングラデシュでは他宗教を尊重するという意味も込めて

イスラム教の祝日だけではなく、

キリスト教や仏教、ヒンドゥー教の祭日なども各1日、

国が定める祝日になっています。

日本では平日のクリスマスだって、

バングラデシュでは祝日なのです。

 

イスラム圏共通の行事・ラマダン(断食月)

イスラム教といえば「断食」を

思い起こす方も多いことでしょう。

イスラム教では1年のうち1ヶ月のあいだ

断食を行うことが義務付けられており、

この断食を行う時期のことをラマダン(ラマダーンとも)と呼びます。

 

断食と言っても1日中何も食べない訳ではなく、

日没後は飲食が可能です。

夕方、街中に鳴り響く合図と共に

人々が一斉に食事を始めます。

 

多くの人が同じ時間に屋内に入り

食事を始めるその光景はとても荘厳で、

異教徒である私でも身が引き締まる想いでした。

宗教と慣習の違いはあるかもしれませんが、

どことなく日本の大晦日の様子を

思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか?

 

ちなみに、この時食べるものを「イフタル」とよび、

これは中東料理から来ています。

 

イスラム教のアラビア語挨拶である

アッサラーム・アレイクム」が

イスラム圏ならどこでも通じるように、

イフタルからもアラビアン文化を感じられます。

 minri3_4

イフタルは揚げ物がメイン。これが毎日だと結構胃に負担がくる

 

これらの話に見られるように、

バングラデシュで生活をするということは

イスラム教と共に生活をするということでもあるのです。

 

日本ではなかなか接することのない宗教であるからこそ、

その中にどっぷり浸かる経験は新しい価値観に触れ、

それを尊重すること、

ひいては人間としての幅を広げられるように思います。

 

そういった意味でもバングラデシュで生活した

3年間は貴重な私の財産になっています。

 

ライター

みんり

日系の製造小売業会社に勤める20代後半女性。2012~2015年までの約3年、バングラデシュで現地事業立ち上げに従事。好きなことは読書、歌うこと、ギターを弾くこと。

このノートに関連するタグ

Ambassadorのプロフィール


ABROADERS事務局

ABROADERS事務局、公式アカウントです♪ アジアで活躍する方々のインタビュー記事や4コマ漫画など、アジアの面白コンテンツを発信していきます!

ABROADERS事務局さんが書いたノート


バングラデシュ に関するノート