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【後編】かものはしプロジェクト・新ブランドSUSUの立ちあげ奮闘記~自分と向き合い、前へ~
こんにちは! 認定NPO法人かものはしプロジェクトの横山優里です。 前回の記事では、 新ブランド立ち上げのプロジェクトマネジャーという大役を任され、 なかなか事が上手くはこばずもがき苦しんでいたことをお伝えしました。
プロジェクトを成功させるためには、弱くてダメな自分もさらけ出す
苦しい状況に少し変化が出てきたのは、
昨年9月末にマネジャー陣で活動レビューを行っていたときでした。
当初10月にローンチ予定だったSUSUの開発は遅れに遅れ、
カンボジアの収益にも大きな影響が出る見込みであること、
開発スピードを速めるための有効な施策を
打てていないことなどを共有したところ、
思いもかけない答えが返ってきました。
「Yuriをサポートするために、他のマネジャーらが
何かもっと早くからできることがあったのではないか。
これからどのようなサポートができるか考えよう」。
猛烈な「なぜなぜ攻撃」がくると覚悟していた私にとって、この反応は想定外。
同時に今まで全部自分でうまくやろうとしていた、
私はなんて愚かだったのかと猛省しました。
商品開発について議論している様子(右が筆者)
これを紐解いていくと、
私の心の根本に「能力がないと思われたくない」
「私には任せられないと思われたらどうしよう」といった恐れがあり、
人に助けを求めることができていない自分に気がつきました。
何より大切なのは、新しいブランドをつくること。
それを達成するためなら、弱くてダメな自分をまずは受け入れて、
その痛みをじっくりと味わい、
解決するのに必要な助けを自ら引っ張ってくる。
そうすれば、意外と弱いリーダーを救おうと
みんなが救いの手を差し伸べてくれることが分かりました。
こうやって言葉にしてみると、
なぜこんなことができていなかったんだと
自分でも苦笑いしてしまいますが、
当時の私にとってそれは大きな課題であり、
それを乗り越えたことで少し成熟した自分になれた気がします。
2月に第一号店がオープン、SUSUの誕生
その後も紆余曲折を経て、
今年2月1日にようやくシェムリアップに
新ブランド「SUSU」の第1号店をオープンすることができました。
シェムリアップにオープンしたSUSU第1号店
SUSU誕生にいたるまでの苦労話を話し出せばきりがありません。
Kingdom of Wonders、カンボジア。
日本では数時間で済むことも、
ここでは1日、何週間とかかることがざらにあります。
「商品に必要な素材がまったく手に入らない」
「やっと手に入れた素材が輸送途中で行方不明」
「店舗の工事が遅れる、だけど大工は焦る様子はなし」
「印刷をお願いしたショップカードに、指定した紙と違うもので印刷された」
「ようやく店舗が完成した翌日に水漏れ」
しかし、こうした日本とは事情がまったく異なる国で仕事をするからこその苦労は、
意外と簡単に受け入れられるものではないかと、私は思います。
毎日雨のように降ってくるトラブルに免疫がついて
ちょっとのことでは動じなくなったのはもちろんですが、
結局そこでイライラしてしまうのは
今まで培ってきた自分の価値観を持ち出しているだけに過ぎず、
そもそも「カンボジアで働かせてもらっている」という意識が弱いのではと感じます。
だからと言ってすぐに妥協するのは良くありませんが……。
振り返ると、トラブルや苦労などの経験以上のものを
私は得ることができたように思います。
・組織の中で自分の役割を遂行していくときの姿勢
・チームメンバーとの向き合い方
そして、
・未熟な自分も含めて自分と向き合えているか、その自分を受け止められるか
・受け止めた上で、全体最適な行動をとれているか
そうしたプロセスを通して自分自身が大きく成長したことが大きいと思います。
人気商品のSUSUトートバック
つまりは、「自分の意識」次第
今まで私の経験を語ってきましたが、
別に海外にいたからこうした経験ができたわけではありません。
今回たまたま、この仕事を経験させてもらった場所がカンボジアであっただけです。
確かに、カンボジアにいれば小さい組織で働く機会が多いので、
いわゆる「若くても大きな仕事を任せられる」チャンスは
確率的には高いかもしれません。
ただ結局のところ、どんな仕事であれ、
何か課題にぶち当たったときに、
ちゃんと自分の弱さも含めて向き合えているか。
どこかで「これは自分のせいではない、誰かが解決してくれる」という
甘えをもっていないか。
そういった自分自身の意識次第で
今後5年・10年先の糧となる大切な基盤を築けるのではと信じています。
商品開発チームメンバーと。一番右が筆者
終わりに
一年の時間をかけて生まれた、
かものはしの新ブランド「SUSU -JOURNEY FROM / TO CAMBODIA -」。
クチャ村の女性たちが一つひとつ丁寧に手作りしている商品を
多くのみなさまに知っていただけるように、
そして愛されるブランドとなるように、
ゆっくりゆっくり育てていきたいと思います。
☆商品や店舗情報、そして作り手のストーリーなど、
Facebookページを通してお伝えしていきますので、ぜひ「イイネ!」をお願いします!
ライター
横山 優里/Yuri Yokoyama
1987年神奈川県出身。大学卒業後、素材メーカーに就職し、工場の生産管理として3年間勤務。2013年よりファンドレイジング担当の社会人インターンとしてかものはしに参画。現在は職員としてカンボジア駐在し、新ブランドSUSUの立ち上げを担当。商品開発やPR、店舗開発に携わる。
by Nnn