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仕事を始めて15年目、ようやく建築家としてのスタート地点に立てた〜ベトナムで掴んだ自信〜07BEACH代表取締役 近森 穣氏

Posted on 2014年12月09日
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ベトナム、カンボジア、日本を中心に店舗や住宅リノベーション等を行っている07BEACH代表取締役であり、一級建築士の近森氏。ホーチミンで有名な「Pizza4P's」を始めとする人気店を次々と手がけ、リノベーションした住宅がニューヨーク・タイムズで取り上げられたりと注目を浴びている。

日本で挑戦できなかったことが、ベトナムだったらできる

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ご夫婦で2012年からベトナム移住されたということですが、奥様から反対はされなかったのでしょうか?

彼女はベトナムという国に来ることに対してはあまりに問題はなかったのですが、日本で10年以上働き、彼女もその仕事に満足していたので、辞めることには迷いがあったようです。 しかし、私はベトナムに行くと決めていたので、単身赴任か彼女に仕事を辞めてベトナムに来てもらうかという2択になりました。 出張で2、3ヶ月離れることを経験したのですが、やはり夫婦として一緒にいたいという気持ちがお互いに強く、彼女にとって仕事を辞めることは大きな決断でしたが、最後は納得して一緒にベトナムに行くことを決意してくれたのです。 彼女は英語関連の仕事をしていたので、語学力を活かしながら今は事務所を手伝ってくれています。本当に感謝していますね。

移住をされてからはずっとベトナムでの仕事を引き受けられているのでしょうか?

たまに日本の仕事をしていますが、ほとんどがベトナムです。現在の割合は、8割ホーチミン、1割プノンペン、1割東京です。 徐々に隣国展開も視野に入れているのですが、私の仕事はその土地で資材を仕入れ、その土地の人と関わって作業する必要があるので、その間自分がそこにいなければならないと考えると、非常に土地に縛られる仕事だと思っています。 最初の頃は何カ国も飛び回って仕事をしたいと思っていたのですが、今も同じことを考えている反面、やはり仕事が土地と密接に結びついているのでそこまで頻繁に行けないというジレンマがあります。 ただ、ベトナムでずっと一緒に作業をして来たスタッフたちとの関係性などもあるので、それも大事にしたいですね。 私自身、ベトナムに愛着が湧いてきているので、ある日突然この場所を去ることはできません。今は、3つくらい拠点を持って仕事をするというスタイルを目指しています。

建築は、人間力が試される仕事

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ベトナムの働き方で、日本との違いはありますか?

決まり事やスケジュールなど、さまざまな約束事に対する観念が日本人に比べてゆるいです。 だから、楽しく話したい気持ちがありつつも、注意すべきことを放置してしまうとどんどんルーズな方に向かってしまうので、普段は温厚な私ですが、仕事中は言うべきことはしっかり伝えています。 でも、ベトナムで働いていて苦労するのはそれくらいで、逆に良いなと思う部分の方が多いです。 たとえば、日本人建築家の母数が少ないので、日本よりも仕事を任せてもらいやすかったり、日本だとリノベーションを思い切りさせてもらえる物件に出会えるのは一部の有名デザイナーや建築家だったりするのですが、そういったチャンスに出会う機会も多いので、独立するスタート地点としてすごくいいと思います。 デザインがしたくて建築関連の仕事をしている人が多いと思うのですが、日本で私が所属していた会社では、厳しい予算やスケジュールのためクリエイティブな仕事をしていると実感しにくいことも多くありました。 それが、こっちにくると自由に作らせてもらえることが多いので、たとえば日本だと天然の石を貼るなんて経験もそうそう出来なかったのですが、ベトナムだとふんだんに使うことが可能だったりします。やろうと思えば、予算的にも自由にやることができます。

日本のほうが予算は多そうですが、ベトナムの材料が安いということでしょうか?

日本と物価の差があるので、たとえば日本だと5000万かかるものがベトナムだと1000万でできます。 だから、自分が何か提案した時に受け入れてもらえる可能性が高いので、思い切ったデザインをしやすいです。 また、日本の職人さんだと人件費がかかり、安い方法に代えざるをえないデザインを、こっちだと「こんな手間暇かかることをこの値段でやってもらえるの?! 」とビックリすることもありますね。

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今後挑戦したいことを教えて下さい。

今私がやっていることは主にインテリアデザインで、外装もやるのですがメインは内装です。だから、更地に家を建てるところからやってみたいですね。 求められる知識のフィールドが違うので、私にとってはハードルが高いのですが挑戦したいです。夢は、50年後、100年後に見ても価値があると思ってもらえる本質的なものを追求した建築物を作ること。 最近よく思うのですが、自分が読んだものや、見たもの聞いたものなど、日々の生きている蓄積がいざ建物を建てる際に問われます。 だから、私が薄っぺらくて安っぽい生き方をしていると、どうしても作るものにそれが反映されてしまう。人間力を求められる仕事だなと感じています。

近森社長は、学生時代から優秀だったのでしょうか?

学生時代は成績が良くなく、他の人よりも秀でていませんでした。そういう経験があったので、実は建築家になるのは自分の才能上難しいだろうと諦めていたんです。 だから、東京での仕事は生きるためにしている感覚で、そこまで楽しめていなかったです。 しかし、能力は変わらないのにも関わらず、ベトナムに来てから仕事に対してモチベーションを持つことができるように。まさか環境だけでこんなに良い方向に変わっていくとは思いませんでした。 学生時代にわかる自分の能力や適正は限られていると思います。社会に出て求められることはもっと幅が広い。自分にとって合う場所はきっとあるので、学校の中の自分だけで将来を決めるべきではないと、今だからこそ思います。 私は、最近になってやっとデザインに向き合えるようになり、仕事を始めて15年目でやっと建築家としてのスタート地点に立てた気分です。 今までは弱気で自信もなかったのですが、ベトナムで仕事に取り組み始めてからは、思いがけないほど周りの人やメディアに認めてもらえるようになり、「もしかしたら自分でも必死にやれば可能性があるのかも」と思って高みを目指せるようになりました。 日本にいたら、自分がどこまでやれるか気づいていなかったでしょう。ベトナムだからこそ、挑戦できる自分がいます。

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