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外食産業元年が、これからアジアにやってくる-株式会社エー・ピーカンパニー米山 久氏がシンガポールに出店を決めた3つの理由

Posted on 2014年04月28日
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「食のあるべき姿を追求する」というミッションを掲げ、現在「カンブリア宮殿」や「ガイアの夜明け」にも取り上げられる人気店 『塚田農場』等を全国179店舗経営する株式会社エー・ピーカンパニー代表取締役社長の米山氏。生産者と消費者の間にある中間流通を省き、ダイレクトに繋ぐ『生販直結モデル』を展開。外食以外にもさまざまなフィールドに挑戦し、東南アジアを皮切りに、海外展開にも積極的に取り組む。

海外にないホスピタリティの提供をする

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2013年にシンガポールで事業を立ち上げられましたが、現状を教えてください。

シンガポールでは、「TSUKADA NOJO」を3店舗立ち上げました。 初めての海外進出をシンガポールにした理由は3つあり、ひとつ目は経済発展が著しい東南アジアに拠点を持ちたかったから。 ふたつ目は、シンガポールは独資で進出可能で、アジアのハブと言われるだけあって情報が集まるので、今後他の東南アジア諸国に進出する際に動きやすくなると考えたから。 3つ目は、シンガポールで塚田農場のブランディングが成功すれば、他の東南アジア諸国に好例を見せることができると考えたからです。 そもそも、海外に目を向けるようになったきっかけは、国内での事業成長は、今後6〜7年が限度と思われたから。今後の国内の飲食マーケットの出店余地は、競合の可能性を考慮すると約400店舗と考えているのですが、現在、弊社は年に40〜50店舗の新規出店をしています。 そうすると、6〜7年後には国内での成長が止まってしまう。ですから、「成長が止まる前に海外への展開を探っていきたい」という思いで、海外展開に踏み出すようになりました。

シンガポールでの最初の立ち上げで最も苦労したこととは?

物件選びです。1店舗の物件が決まるまでに約15ヶ月かかりました。海外で日本食店を展開する場合、高級店や日本人の駐在員向けの店をされる方も多いのですが、弊社が展開するのは基本的に、地元の人々向けの回転率の高いローカルな店。 展開性が最も大事だと思っているので、ターゲット層を地元の人たちに設定し、街やそこに地元の人たちの動向を知るために、毎日のように開発部門の人間と共に商業施設などを周り、情報収集をしました。

海外での販売にあたって、商品の味は変えているのでしょうか?

シンガポールの地元の方は、いわゆる日本の「居酒屋」のような食事の仕方をしないので、自社養鶏場で育てた「みやざき地頭鶏」の天然コラーゲンスープの鍋をメインとした業態にしました。 シンガポールにはブロイラーしかなく、地鶏という概念がなかったので、地鶏から取る濃厚なエキスやうまみが詰まったスープが地元の人からご好評いただいています。 人気の理由は、味のおいしさに加えて、「日本のプレミアムチキンのエキスから取られたスープ」というメイドインジャパンのブランディングにもあります。アジア諸国の日本食料理店に行くと、何から何まである定食屋状態が当たり前。 弊社のメニュー数は少なく、当初は議論がありましたが、少ないからこそオリジナリティーと専門性を生んでいると考えています。

揺らぐことのない事業のミッションが何よりも大事

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シンガポールの店舗でも、日本と同じように食材のおいしさをお伝えする接客をされているとか。

はい、現地の店舗スタッフにとってお客様に食に対するこだわりを伝えることは新鮮らしく、そこに意義を見出して楽しんでやってくれています。 弊社は飲食店でもあり、生産製造業のメーカーでもあるので、店舗スタッフに食材の生産工程における想いやこだわりの情報を提供できます。だからこそ、単なるおじぎの角度や笑顔ではなく、生産製造における想いやおいしさを伝えるという、一般的に考えるホスピタリティとは異なるレベル感のサービスが実現するのです。 これは海外にないホスピタリティの概念ですので、現地のお客様はサービスレベルに感動されますね。

将来的には、日本での展開と同様にそれぞれの国で自社農場を展開されるのでしょうか?

ゆくゆくはそうしたいと考えています。シンガポールには農場の土地はないのですが、マレーシアやタイであれば実現可能でしょう。 現地農家の人との関係性や信頼関係の構築も、視察の段階で十分手応えがあったので、そこまで高いハードルではないはず。200〜300万程度の投資でできますし、他にもM&Aをするという選択肢も考えています。 現状としては、シンガポールにまだ3店舗しかないので、もう少しスケールが必要。店舗数など具体的な数字目標はやりながら見えてくると思うのですが、今はようやく国内の居酒屋展開で400店舗、500億を目指すという数字が見えてきたところですね。

既存の先行企業や今後出てくるかもしれない競合他社のなかで、御社が東南アジアで伸びていく強みは何だと思われますか?

商品を売るスキルがあることと、飲食店という売り先のチャネルがあることです。自社で作ったものを自社店舗で販売しているので、いわば、売り先を確保している総合商社のような会社設計。 この考え方は国内外の事業においても共通であり、飲食業というよりも広い「食産業」という大きなスケールで会社を捉えている、他の外食産業にはない弊社ならではの強みですね。 日本の外食産業元年と言われた1970年以降、外食産業の市場規模は現在23兆円にまで達しています。東南アジアは、今まさに外食産業元年を迎えるタイミング。海外進出においては日本より難しいことは、これからも当然たくさんあるでしょうが、そこで自分たちに何ができるか探っていきたいです。

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事業をするうえで大事なこととは何だと思われますか?

自らの事業のミッションをしっかり持つことが重要です。多くの人は、やりたいことがきちんと考えられていないように思います。 また、3〜4年で消えてしまうような短期的な事業戦略では意味がないので、長期的に世の中で必要とされていくか事業かどうかを慎重に見極めることも必要です。ブレなきミッションが、ブレなき判断に繋がるのです。 たとえば、日本の株式市場が最悪だった3〜4年前、弊社が上場準備に入ろうとした時に、シンガポールや香港の方が有利だと周りから反対されました。 しかし、日本の1次産業の活性化が根本のミッションにあったので、海外で上場するのではなく、日本での上場を選択。今考えても正しい判断だったと思いますね。

今後の海外展開におけるスタンスを教えてください。

海外進出している日系企業で、企業理念が浸透し、継続性を持ってきちんとブランドとして定着しているものは少数で、多くは2〜3年で飽きられてしまいます。 日本より資金がかからないので、商売として成立させることだけであれば、海外進出は決して難しいことではありません。 ただ、弊社は目先の単発的な利益には興味がないので、我々日本人が海外に出て一体何ができるのか、そしてそれによってどのような良い影響を与えていくことができるのかという本質的な目的を持ちながら進出していきたいと思います。

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