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キャリアの重要な岐路で、あえて崖から飛べますか? – NANAROQ 佐々木慈和氏が考える海外で活躍する人材の条件

Posted on 2013年10月08日
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コンプライアンス、いわゆる法令対応の分野で、日本では唯一のサービスを行うIT会社、NANAROQの社長兼CEO。リスクを恐れず挑戦する楽観力と偶然を必然に変えていく前進力をあわせ持ち、大学受験の失敗、創業期ビジネスの不振といったピンチを、飛躍の転機に変えてきた。2013年、シンガポールに拠点設立。自ら同社のアジア戦略の先頭に立つ。

海外に行っただけでは意味が無い、結果を持ち帰って初めて認められますよね

- NANAROQは海外で戦っていくために、どんな人材戦略を立てていますか

うちは、20代、30代、40代、50代、60代と、全世代がいるベンチャーなんですよ。ベンチャーというと若手が多い印象かと思いますが、コンプライアンスの世界は経験がすごく重要。ドキュメントを読んだことがある、という人はいっぱいいますけど、実務として扱ったという経験のある人は意外に少なくて、実は50代、60代世代がすごいんです。
ある自動車会社のヨーロッパの社長とか、アジアで起業していた方とか、64歳まで副社長をやっていたような方も、定年になったら本来はリタイアされてしまうじゃないですか。ところが実際、この方々の経験って極めて貴重なんですよ。みなさん、数年前まで大企業の第一線、海外で働いてきたような方々ですから。活躍できる場所を提供すると、モチベーションもすごくて元気なんです。
特に60代の先輩方は元気ですね。特にこの世界はノウハウビジネスなので、人脈や現地のルールにのっとったビジネス経験は何物にも代えがたい価値があるんですよね。うちはシニア世代の方々に海外とのやりとりもバリバリやってもらっていますし、コンテンツづくりの中心となってもらっています。とてつもなく仕事ができるシニア世代を積極的に登用する、というのがひとつ、うちの人材戦略ですね。
もうひとつは、主婦採用にも積極的に取り組んでいることです。社内の管理業務はほぼ主婦の方々に担当してもらっています。結婚・出産などの理由でキャリアが途切れてしまう方は、実際多いんですよ。そういう方の中にも優秀な方がたくさんいらっしゃるので、例えば10時~16時などの希望の時間を区切ってもらい、働いてもらっています。
時間を決めて、今日やると決めた業務を効率よく仕上げる能力はどの世代よりも優秀。どうしてもフルタイムの社員って、自分も含めてですけど、ダラダラする時間がありますよね。後から考えると「あそこはムダな時間だったかな」とよく反省するんですけど、その点、ご家庭での家事や育児があって、帰宅の時間に必ず合わせる意識が徹底している主婦の方というのは、タイムマネジメントの面では本当に素晴らしい。
会社にとっても非常にありがたい存在です。うちは1日3時間でも、本人の希望があれば働いてもらいますし、応募は多いです。働く時間の長さはまったく問題じゃないです。結果さえ出ればOK。色んな働き方があって良いと思いますよ。

- 幅広い年齢層をそろえることのメリット、デメリットはありますか

幅広い世代がいると、お互いに足りないものを補い合えますね。経験がものをいう、コンプライアンスのコンテンツ制作はシニア世代、タイムマネジメント能力の高い主婦の方たちは管理業務といった役割分担が、うちではうまく回っています。
もちろんリスクがない訳ではなくて、例えば主婦の方が子どもの高熱で急に休むこともあります。ただ、そのへんのリスクマネジメントさえできれば特に問題はありません。本当に優秀で、とても価値のある存在ですからね。

日本を良くしたいのなら、日本にいたままではいけないと思いますよ

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- 世代を通じて、これからの海外市場で戦っていける人材のイメージを教えていただけますか

自分ですべてを考えて、コミット出来る人でしょうね。海外って結構、シビアじゃないですか。行っただけじゃ意味がなくて、結果をまとめて帰って初めて認められる。ゴールにたどり着く方法を編み出すことを楽しめないとやっていけない。相手が多様化すると、ゴールにたどり着く道もひとつではないですからね。1を聞いて10を考える人が活躍します。
なかなかいないのですが、意識ひとつの問題でもあると思います。そういう点を踏まえて、最近は女子の採用も増えていて、最初にシンガポールへ呼び寄せようと考えているのも、日本本社で働いてくれている中国人の女性です。うちの女子率は上がってきていますね。シニア世代や主婦の採用とも同じですが、これまで就職、転職市場で不利だったかもしれない方々が、活躍する機会は、もっと増えていくのではないでしょうか。
海外で結果を出すためには、優秀な人材はたくさんほしいですね。自分自身で設定した目標を、限られた時間の中で達成する。それさえできれば、年齢、性別、国籍、経験はもちろん、勤務時間、勤務日数、勤務場所さえ、基本的には自由であって良いと思っています。
そして、リスクをとることができる人は大歓迎です。結果を出すことにとらわれすぎて、失敗を恐れることは避けたいですよね? 私自身もたくさん失敗してきましたからね。キャリアの重要な岐路で、あえて崖から飛び降りるような判断ができる人。良いですよね。

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- 海外で働くことと、日本で働くことは違いがあると思いますか

海外で働く、というと大それたことと感じるかもしれないけど、例えば岩手から東京へ出るのと、東京からシンガポールへ出るのは、まったく同じ。なんの違いもないと思いますね。色んな価値観があって、発見がある。田舎から東京へ出た時のワクワク感の源と一緒ですよね。
海外で働くということ自体は特別難しいことではないと思います。 ではなぜ、ビジネスを海外に進出させるのか。狭いところだけで物事を考えていると、いずれ停滞してダメになる時が来るからです。
例えば僕の故郷は岩手なのですが、岩手のことを活性化させる方法を、岩手の中だけで考えていると限界があります。同様に、日本の市場を活性化させるためには、日本人だけと付き合っているという訳にはいかないと思ってます。

- 最後に佐々木さんご自身の、シンガポールでの今後の意気込みをお聞かせ頂けますか

シシンガポールってすべてがIT化されていて、日本にいながらにして、事務所の契約、登記まで、全部できちゃうんですよね。事務作業の進行状況も、ネット上ですべてステータス表示される。ビザの仕組みとか、日本はまだ郵送ですよね。
うちで働いているインド人が日本のビザをとろうとすると7週間なんの音沙汰もない、ということがある。そういうのに比べると、国としての仕組みがとてつもなくよくできている、シンガポールは。 そんなシンガポールで、我々独自のGRCサービスを採用していただいて、アジア全域に広げていきます。 
多くの失敗が容易に想像できますが、一つひとつ解決して、日本発のサービスをアジアの人々に活用してもらってきます。

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