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【フィリピン・スモーキーマウンテン】現地への想いを呼び覚ました1本の映画
前回はフィリピンのスモーキーマウンテン来訪時のことを書きましたが、今回は現地の「ゴミ山」を扱ったドキュメンタリー映画を紹介いたします。
1本の映画が、忘れかけていた記憶を取り戻してくれた
私は昨年の8月にフィリピンのスタディーツアーに参加したのですが、そこで目の当たりにしたのは、強烈な臭いを放つゴミ山や、スラムから立ち退きを強制され帰る場所を失った方々の姿でした。
そんな彼らの様子を見て「なぜもっと早く現地に来なかったのだろう」という後悔の念が芽生えたのと同時に、「ツアーで経験したことを忘れたくない!」という想いが私の心に強く残ったのです。
しかし日本で快適な生活を送るうちに、ツアー中の記憶や貧困問題に対する情熱は次第に薄れていく一方。
そんな自分の意志の弱さに落ち込んでいた時期にたまたま出会ったのが、フィリピンのスモーキーマウンテンを扱った「バスーラ」という映画でした。
バスーラ
「バスーラ」はフィリピンのスモーキーマウンテン周辺の住民に焦点を当てた作品で、四宮浩監督は実際にスラムで暮らしながら撮影を成し遂げたそうです。
彼は他にも、スモーキーマウンテンの方々への取材を通じて完成させた「忘れられた子どもたち スカベンジャー」や、パヤタスというゴミ捨て場の崩落事故を扱った「神の子たち」という2本のドキュメンタリー映画を発表しています。
その中でも私が一番衝撃を受けたのは、「フィリピンに通い続けて20年以上経つが、貧しい人の生活は何ひとつ変わっていなかった」という監督のナレーション。
フィリピンはこの20年間でGDP成長率6.8%を超えるASEANトップクラスの経済成長を実現させました。しかし元々裕福な人たちが更に豊かになっていった反面、貧しい人たちの状況は何も変わらなかったというのです。
同じ20年という月日が流れているのに、なぜ人によってこんなにも異なる結果に行き着くのか、不思議に思いました。
そしてこのまま貧困の中で生きる人たちのことを忘れ、自分のことだけを考えて生きてしまったら、また何も変わらないまま20年という歳月だけが経ってしまうのではないか。
私はふと、怖く感じてしまいました。
貧困を忘れないために
では現地での経験を忘れないために、そして現状を変えるために私たちは一体何をすべきなのでしょうか?
いくら「忘れない」と決意しても人間の記憶は永遠には続きません。そのことを私はツアー後に実感し「ああ、自分はだめだな。冷たい人間だな」と、とても落ち込んでしまいました。
しかし今の私がするべきことは、現地での記憶や貧困問題への想いを日常生活の中で忘れないための工夫をすることだったように思います。
「バスーラ」のようなフィリピンを扱った映画を見たり、貧困問題について真剣に勉強したりと、現地を思い出す機会を自分自身で作らなくてはいけません。
そしてもうひとつ大事なのは「もし自分がスラムの人たちと同じ立場だったら……」と、自分に置き換えて物事を捉える習慣付けをすること。
もし自分の住む場所がなかったら……?
その日の食費さえもままならない収入だったら……?
残念ながら実際に飢えたことがない私には、実際に飢餓に苦しんでいる人たちの気持ちを手に取るように理解することはできません。しかし相手の辛さや悲しさを想像することなら、一人ひとりができることだと思うのです。
スタディーツアーに参加したり、自由に海外を旅したりできるのは、時間的に余裕がある学生時代の醍醐味。
そして今後就職や進学などを通じて、自由に現地に足を運ぶことが難しくなったとしても、現地を忘れないための工夫、何事も自分に置き換えて考えることは絶対に習慣化させていきたいと思います。
経験した日: 2017年04月24日
by Nnn