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【ヒットメーカーは知っている】 ベトナム人と日本人の色彩感覚が違う理由
はじめてベトナムに訪れた方は、ベトナムの街並や服装などが色鮮やかで、ときには目が疲れるくらいに色彩が多いことに気づかれることでしょう。
異国の色彩が日本とは違う理由について書いてみました。
ベトナムの街は色彩豊かで鮮やか
街の建物は、赤や青、黄色などの原色で塗装されていて、家に入ると薄い水色の壁があり、さらに赤っぽい塗装が施された家具が置いてあります。日本人の色彩感覚とは明らかにちがう原理で住宅が塗装されています。
看板も遠くから確認されやすい特性を持つ色(視認性の高い色)である、赤やオレンジ、黄色と行った原色が多いです。さらに赤い背景に青い文字など対比色をつかった看板が多く、とにかく目がチラつきます。
服装も日本人が好むアースカラー(ベージュやブラウン)はあまり好まれず、赤やピンク、黄色、オレンジなどの原色、もしくは白を好みます。
更にいうと、エクセルやパワーポイントなどの資料もそうです。ベトナム人スタッフに資料をつくってもらうと、とにかく色使いが激しい。お店のメニューとかでもそうですが、色彩調和を意識しないで、しかもベトナムの感覚でレイアウトして色付けをするので、原色を多用した派手でみにくい色使いとなります。
実は、ベトナム人と日本人では色彩感覚が違うからそうなるのです。
その色彩感覚を形成しているのは、生まれ育った環境に起因しています。それは、ベトナム人と日本人とでは味覚が違い、好む味が違うのと同じことです。
それを知らないで日本のものをベトナムに持ち込み、彼らに押し付けると間違ったマーケティングになります。
それでは、色彩感覚を形成しているのは何なのでしょうか。
ベトナム人の色彩感覚をつくっている強い太陽光線
色彩感覚は生まれ育った環境の色に依存します。
どういうことかというと、太陽光線の強さ、日照時間が関係しているのです。
太陽光線が強く、すべて鮮やかに見えるベトナムでは、人々の目が強い光に慣れてしまいます。僕は、日中日差しの強い日に外に出ると眩しすぎるように感じます。ベトナムは、緯度が低いため太陽が日本より近く、そのため太陽光線が強いです。
一時間でも太陽の光を浴びれば肌が焼けて、赤くなります。紫外線の量も多いので、日本の夏と同じような感覚でいると後で後悔します。
また、自然豊かで緑も多く、果物や花は色とりどりです。ベトナム南部ともなれば、常夏の地域ですのでその状態が1年中続きます。
日照時間が長く日照率が高いベトナムで育ったベトナム人は、青い空+自然の色彩という刺激に目が慣れてしまうのです。
日本の色彩
それでは、日本はどうかというと、日本も春になれば色とりどりの花がさき、夏になれば美しい新緑の自然があり、秋になると赤や橙の紅葉が目を楽しませてくれます。しかし、どの色も一時的なもので、さらに都会に住んでいれば灰色のコンクリートに囲まれて、自然と接する時間も少なくなります。
また、東京では日照率が低く40%~50%程度で、年の半分は曇った灰色の空の下ですごすため、あまり強い色彩の刺激が続くと日本人にとっては不快感となります。
僕のブログにも書きましたが、日本で北欧家具が人気がある原因は日照率と環境に起因している部分もあります。
最近の日本では、無彩色(色味と鮮やかさがない)の環境が多く、人々はパステルカラー(淡い色合い)が好まれます。ビビットカラーは、若い人には人気があるといえ、刺激が強すぎるのです。
まとめ
ベトナムでは、日照率が高く、さらに太陽光線が強く鮮やかな色彩が多いため、ベトナム人は刺激的なビビットカラー(鮮やかな原色系)を好みます。
日本では、季節によって太陽光線の強さが変わり、日照率が低く、都会では無彩色な環境になるため、パステルカラーが好まれます。
国が違えば味覚が違うのと同様に色彩感覚が変わります。他の国でも同様です。マーケティングの際は、その国の色彩環境を調べるのは非常に重要な事項となります。
経験した日: 2017年05月16日
by Nnn