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国際協力に「経験」「英語」は必要か?~自分の目的を知るための近道とは~
特定非営利活動法人ジャパンハートの長谷川彩未と申します。ミャンマー、カンボジア、ラオスという主としてアジアの国々での医療支援活動に関わって今年で10年目を迎えます。(あっという間~)
今まで私が出会う中で一番多かったのがこの質問。
国際協力をするのに「経験」「英語」は必要か?
今回は私の自己紹介をしつつ、このことについて皆さんと一緒に考えていきたいと思います!
小さい頃から身近にあった医療
私の実家は千葉にある接骨院だったこともあり、小さい頃から患者さんと触れ合う機会が多くありました。
幼心にも「ありがとう」と言われる父は偉い人かもしれない、ということは理解していました。父の仕事が影響してか、自分も「困っている人を助けて笑顔にしたい」という気持ちがごく自然に湧いてくるようになりました。
勉強は苦手だったため受験には苦労しましたが、なんとか地元千葉の看護学校に入学。
私の人生の転機となったのは、学校が主催していたマレーシアでの教会建築ボランティアでした。そこでたまたま現地の病院を訪問し、惨状を目の当たりにしたのです。
「私にはまだまだ知らない世界がある」
この想いがずっと脳裏に焼き付くようになりました。
カルチャーショックで気づいた、シンプルな自分と感謝のこころ
都内の大学病院に就職し3年間の下積み時代を送った私は、かねてからの想いを実現するため、2006年に特定非営利活動法人ジャパンハートの長期看護研修に応募し、ミャンマーへ渡りました。
ミャンマーでの患者さんと
現地の人と同じ様式の家に住み、同じものを口にし、電気や水道水が十分でない非常にシンプルな生活を送る中で、自分がいかに日本という恵まれた社会に守られてきたのかということを実感することができました。
また医療的な側面からいうと、ここでは日本のような保険制度はなく、長い間治療を受けられず病状が悪化してからくる患者も少なくありません。
見たことのない病気の方も大勢います。さらに日本のような高性能な検査機器もなければ、すぐに緊急搬送できる救急システムもありません。
自分の感覚や知恵を最大限に使い、その場でできることをするしかないのです。
日本のように準備された選択肢から最良のものを選ぶということではなく、「ない」からどうするかという発想の転換が求められました。
これは私のように長い経験がないと分からないことではなく、ある程度の短期間でも現場にいれば理解できることです。
国際協力に「経験」「英語」は必要か?
本題に戻りましょう。国際協力に「経験」「英語」は必要か?
私の答えは「あればいいけど、絶対条件ではない」です。
目的によって必要なものは変わる
この質問を聞かれたとき、大切なのは目的だと答えています。
何がしたいかによって、必要な経験や言語は変わってくるからです。
といっても、目的自体が分からないこともありますよね。私自身もそうでした。
だからこそ、まず「現場に行ってあなたの目で見てくる」ことが最も大切でもあり早道だと思うのです。
私自身、現場に行かなければ分からないことがたくさんありました。ミャンマーで看護師として働いていると、当然患者さんは英語ではなく現地語を話します。自分が英語を話せても患者さんとコミュニケーションを取れないこともあるのです。
英語より現地語が必要な場合も
更に、現地語を話せたほうが患者さんからの信頼も得やすいことも事実です。
私は役割上、現地政府との交渉や調整などもします。「政府の役人であれば英語は話せるだろう」と思っていたのですが、そんなことはありませんでした。
国の歴史背景によっては英語でも現地語でもない、第3の言語を話すこともあります。
つまり、まずは「その国・現場を知る」⇒「自分の目的を絞る」⇒「自分のやるべきことが見えてくる」のステップを踏むことが大切だと思うのです。その上で何かやるべきことがあれば、更にそこからいくらでも広げていくことができるのではないでしょうか。
私のいるジャパンハートでは、医療関係の方に限らず、誰でも超短期でボランティア経験ができる制度もあります。
病院周辺地域の子どもたちと
カンボジアでの料理体験
国際医療短期ボランティア参加者の方々と
あなたの目的、そしてあなたに今必要なものは何ですか?
ライター
長谷川 彩未/Ayami Hasegawa
by Nnn