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【人口13億人をデジタルで一括管理!】デジタル・インディアでつくる新しいインド

Posted on 2017年09月12日
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皆さんは昨年(2016年)末、インドで突如高額紙幣が廃止されたのをご存じでしょうか?実はこの出来事にはデジタル・インディア計画というプロジェクトが関係しているのです。これは「インドをデジタル化によって強化された知識経済社会に変革する」という目的のもと行政サービスの電子化による効率化、ICTインフラの増強によるビジネス環境の改善や国民を正確に管理すること等を目指した国家の基本的なICT政策です。モディ現首相が就任した2014年に承認・発表しました。


革命とも言える政策を実施しているモディ首相が就任当初から力を入れている計画がどのようなものなのか、どんな効果をもたらしているのか、今後インドでのビジネスにどう影響するのかご紹介していきます。

首相ナレンドラ・モディの革命的政策

モディ首相は前グジャラート州首相であり、グジャラート州をインドでも有数の経済発展都市へと押し上げました。2014年、首相に就任してからもグジャラート州での成功モデルを基に大胆な経済政策を実行しています。モディ首相が発表した経済政策は一部報道で「モディノミクス」と呼ばれています。ここではモディノミクスの詳細を一部解説していきます。


 


メーク・イン・インディア


2014年9月この政策が発表されました。国内外からの投資や製造拠点の設立を促し、インドを世界の中でも魅力的な製造ハブに発展させることで高い経済成長と雇用創出に繋げることを目指しています。


◆目的:経済の高成長と雇用創出。そのための簡易的で効率的な行政の実現


◆目標:インドの製造業によるGDPシェアを当時の15~25%から60%に向上させる


◆主な政策:インドにおける事業開始手続きの簡素化、各産業に対する投資規制緩和 等


 


クリーン・インディア


こちらの政策は2014年10月に発表されました。国の経済、健康、教育にも繋がる衛生問題の改善に向けた政策です。


◆目的:屋外排泄やゴミ問題などの公衆衛生の改善、それによる経済、教育問題の解決


◆目標:2019年までに1億2000万家庭に専用トイレを設置、ゴミ処理・分別の浸透、国民の衛生問題に関する意識改革


◆主な政策:家庭・学校・公衆トイレの設置・整備、Googleとの協力による最寄りトイレ検索や道案内サービスの構築、衛生に関する啓蒙活動、ゴミ分別規則の強化 等

デジタル・インディアでインドをデジタル化

デジタル・インディアとは先程も触れたように、人口増加を続けるインドの中でインターネットを平等に普及させること、インターネットを通じてアクセスが可能なデジタル化を進めることで農村部にも良いサービスを提供すること、デジタル化による雇用創出などを含め、行政サービスの電子化による効率化、ICTインフラの増強によるビジネス環境の改善や国民を正確に管理すること等を目指した国家の基本的なICT政策です。


 


デジタル・インディアの内容は?


インド政府はデジタル・インディアにおいて、


・全国民に対する公共サービスとしてのデジタルインフラの提供


・行政サービスのオンデマンド化


・国民のデジタルエンパワメント化


以上の3つに焦点を当て、2014年から2018年までの5年間で1兆1,300億インドルピーをかけて段階的にすべての村落にデジタル化された電子行政サービスを提供しようとしています。

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先程の3つの分野への重要な成長分野として、上記のような9つの柱を掲げており、各分野で行動計画を発表、遂行しています。


 


「デジタル・インディア」これまでの軌跡


デジタル・インディア計画は2014年8月に発表され、これまで数々のプロジェクトが実行されてきました。ここではその一部をご紹介します。


 


◆JAM番号トリニティ:焦点①「全国民に対する公共サービスとしてのデジタルインフラの分野」に対する取り組みで、デジタル・インディアの目玉と言われており、Jan dhan yojana(銀行口座)、Aadhaar(国民ID番号)、Mobile(携帯電話)の3つの番号を結びつけ、国民一人一人について把握・管理し、然るべきサービスを提供するというものです。銀行口座、国民ID番号は元々、全体の一部にしか普及していませんでしたが、2017年初め国民のほぼ全員に普及しました。


 


◆MyGov.in開設:6つ目の柱に対する取り組みで、市民と政府の間の双方向のコミュニケーションを可能にするため、インド市民が政策等の情報を受け取り、提案等ができるwebサイト「MyGov.in」を総理大臣が開設しました。


 


◆高額紙幣廃止:冒頭でも触れた通り、2016年11月8日夜発表され、翌9日から実施された政策です。当時流通していた500ルピー札と1,000ルピー札が突如廃止されました。この2つの紙幣はインド紙幣の合計価値の約86%を占めていたため、発表直後国内は混乱し現金不足のため一時的に消費は落ち込みましたが、ブラックマネーの撲滅と現金経済からの脱却という明確な目的があるため政策自体は支持されていました。デジタル・インディアとの関わりとしては、紙幣交換の際に銀行口座の開設を促すことでJan dhan yojanaへの大きな効果を発揮する点、現金経済からの脱却がAadhaarを利用しデジタル化されたキャッシュレス経済の実現を進める点が挙げられます。

進行中の政策から見るインド経済のこれから

モディ首相によってデジタル・インディアなどの政策が次々と実施されているインドの経済は現在どのような状態なのか?今後どのようになっていくのか?転職を考える上で気になるインド経済の今と今後について考えてみます。


 


現在行われている政策


◆主要政策金利の引き下げ:物価上昇要因の一部が縮小したか、または顕在化しなかったことから、経済成長の動向と照らして幾分の金融緩和余地が生じたということを背景に、2017年8月2日に開催された金融政策委員会において、インド準備銀行が主要政策金利を0.25%ポイント引き下げることを発表しました。


 


◆GST:7月1日からインド全土で導入された新しい税制です。複雑な間接税体系の簡素化や各州間の物流の円滑化と輸送コストの大幅減を通じた経済成長率の押し上げ効果が期待されています。


GSTについてはこちらの記事で詳しく解説しています!


https://www.reeracoen.in/contents/blog/gstnoeikyoindia


 


政策から予想されるインドの未来


先程ご紹介した政策や高額紙幣廃止による悪影響からの持ち直し、銀行の貸出金利の低下などが今後の経済成長を促進させるため、引き続き高成長が期待できるでしょう。また、モディ首相による経済改革への期待が高まっているため、株式、債券ともに今後もインド市場への資金流入が続くと思われます。


デジタル化によってより効率的な行政サービスの提供が可能になり、経済への資金流入も加速するインド。今後も高い成長率、発展が期待できるでしょう。

まとめ

インドではモディ首相主導で革命的な政策が実施されています。これらによってインドという国が変わることは容易に想像できます。まだまだ道半ば、急速に移り変わるインドの街で暮らし、成長を続けるインド経済の中で働いてみませんか?数年後インドがどうなっているのか楽しみです。ご自分の目でその変化を見届けましょう!

経験した日: 2017年09月08日

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