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大好きな人の死を通して、海外生活のリスクを改めて感じた僕が今、伝えたいこと

スースダイ、浅野です。
今回はちょっとヘビーな内容ですが、これもひとつの現実であり、いつ僕たちの身に降りかかることかも分からないことなので、記事で伝えたいと思います。
先日、日付が変わる少し前に、僕の携帯が鳴った。電話に出ると、僕の名前を呼ぶその声は、息の隙間から絞り出すように細くて必死だった。「助けて……発作で息が。すぐ来て」と告げられた。
この電話から始まった3日間の出来事が今でも嘘のようだし、嘘であってほしいと思う。何が何だか分からないままに過ぎ去った時間。
電話の相手は母のような親友のような存在

その電話の相手(以下Aさん)との出逢いは約8年前。ふたりしてプノンペンで日本人詐欺師に騙されたことで出会った。
Aさんは僕の母のように寛大で、しかし親友のようになんでも相談でき、大阪弁120%な口調で「違うねんけどな」が口癖だった。食後のデザートは欠かせない、そんなお茶目なAさん。
Sui-Johが立ちあがる前、まだ僕がプノンペン市内の大学院に通っていた当時は唯一、気兼ねなく話せる日本人の友人だった。まだ稼ぎがない僕を気遣ってよくご飯に誘ってくれて、ご馳走までしてくれて、僕は精神的にどれだけ助けられたか計り知れない。
Sui-Johを始めてからも定期的に買い物に来てくれ、ずっと温かい目で見守ってくれていた。
そんなAさんは、入院3日目に息を引き取った。初めて、心電図が一直線になるのを目の当たりにした。
他の誰でもなく僕に助けを求めてくれたのに……甘えっぱなしで、まだ何もなにも恩返しできていないのに……。助けられる術がもっと何かあったのでは、と未だに考え込んでしまう。
とてもお世話になったAさん。でも、僕はAさんのバックグラウンドをほとんど知らなかったことに気づいた。Aさんが倒れてからようやく、彼女の人生を少しだけ知ることになった。
海外生活するなら、真剣に考えておきたいこと

カンボジアでは棺桶内に私物は入れず、私物は別途燃やします。またお金に困らないようにと、偽のお金も一緒に燃やします
この記事やABROADERSサイトの読者の皆さんの中には、海外で働くことや起業することに、憧れを抱く人も多いかもしれませんね。
でも、今回改めて僕が感じたことを伝えたい。海外で生活するというのは、海外保険の加入の有無に関係なく、大きな、大きなリスクを伴っているということ。日本だったら助かる命も、カンボジアでは助からない。それは、あなた自身のリスクだけではなく、家族や友人への金銭的、精神的、体力的負担も含まれるということ。
今回のことから得た教訓があるならばと思い、この出来事を綴っています(これは僕が個人的に考えるリスク回避案なので、あとは自己責任でお願いします)。
・携帯電話に救急車、病院の緊急連絡先を登録しておく
・持病があれば、その対処法も周囲に公言しておく
・緊急で自分たちで病院に行く場合、タンカーや看護師の準備及び医師への伝達をしてくれ、と電話に出た受付にこちらから指示する必要がある
・海外旅行保険に入る。入っていなければ、クレジットカード付帯の確認を。または現地の保険に入り、事前にカバー範囲の確認をしておく
・海外旅行保険、クレジットカード付帯保険があれば、それをパスポートと一緒に証書や内容の分かるものをはさんでおく
・無保険の人は、最悪の場合どの病院に連れて行くべきかなどを友人に話しておく(病院によっては先に現金が無いと診てもくれませんし、診てくれても後から「運んだ人」に数百万円相当の請求が来るケースもあると聞きます)
・パスポートの最終ページにある緊急連絡先欄に記入。変更がある場合はアップデートを
・パスポートの場所を、信頼できる誰かには伝えておく。コピーを渡しておく
・信頼できる人に家の合鍵を渡しておく
・最悪のケースとして亡くなってしまった場合、もし日本に身寄りがいなければ、その後の対策も用意しておく必要がある。プノンペンのローカルの火葬場で火葬する場合、諸々含め600ドル程度かかる(ただ日本からの火葬許可証等の法律的問題がどうなるかは分かり兼ねます)
・日本大使館への届け出などはとても煩雑で、金銭的な援助はもちろんない
・死亡届、火葬許可証発行などの代行業者を介すと、合計4000ドル程度を要する
極論ではありますが、こういったアクシデントが起こる可能性はどこでもあり、海外となるとその可能性が上がり、その後の対応もスムーズにいきにくいのが海外です。
そんなリスクもあることを覚悟した上で、自分自身も、ご家族も、ご友人も無事に過ごせる方法を考えてもらうきっかけとなれば幸いです。
経験した日: 2018年08月08日
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