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二極化する日本の若者~「志」をもち続けて働くためには – 特定非営利活動法人クロスフィールズ 代表理事 小沼大地氏

Posted on 2015年08月11日
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教師になる前に社会を見ておこうと、青年海外協力隊でシリアに向かった小沼氏は、国を良くしたいと語る現地NPOのスタッフ、ビジネスの力で社会に貢献する人々との出会いに感銘を受ける。一方、日本では熱い想いを抱いた若者が志を失っていく現状を目の当たりにし、自らができることは何かと問い、事業を興した。

あなたにとってリスクとは何なのか

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留職プログラム事業はどうやって思いついたのですか?

最初のきっかけは、大学卒業後に青年海外協力隊でシリアに2年間行ったことです。以前は教師になりたいと考えていましたが、その前に知見を広めておきたかったのと、パックパック旅行が好きで海外に興味があったことから軽い気持ちで応募しました。行き先がシリアだと聞いたときは驚きましたが、結果的には、刺激あふれる素晴らしい時間を過ごす2年間になりました。 発展途上国に支援に行くと聞くと、現地の人々は可哀想な人たちで、彼らに豊かな日本人たちが何かを施すというイメージをもたれる方が多いかもしれません。出発前の私もそのひとりでした。しかし、私も協力隊の仲間たちも任期を終えて口を揃えて言うのは「現地の人に教えてもらった、多くを学んだ」。これから成長していく国にうずまく活力やエネルギーには、バブル期以降しか知らない私は圧倒されました。 任期中は現地のNPOに所属し、シリア南部の人口3,000人ほどの小さな村で暮らしていました。そこで一緒に働いていたNPOの職員のひとり・アリさんは特に印象的でした。彼はその村の村長の長男で、つまり次期村長という立場でありながらあえてその道は選ばず、NPO職員として働いていました。彼いわく「村長になってもこの村が良くなるのには限界がある。NPOで働くことで、ここから村や国を良くしていくんだ」。そう語る彼の目はとても輝いていて、「こんなカッコいい目をした人に会ったことはない」と衝撃を受けました。しかもこれはアリさんに限ったことではなく、「自分が何か行動を起こすことで地域が、国が、良くなる」と意気揚々と語る人が現地にはたくさんいて私は純粋に心動かされました。 また、シリアではもうひとつの出会いがありました。私の所属していたNPOにはドイツから経営コンサルタントがふたり、出向という形で1年間派遣されて来ていました。私はそのドイツ人コンサルタントの部下として働くことになったのですが、最初は「国際協力の場になぜ経営コンサルが?」と私は懐疑的でした。しかし彼らのプロジェクトマネジメントなどといったビジネスの力によって、そのNPOの活動は大きく前進していったのです。「ビジネスの力って、社会貢献や国際協力の場でもこんなに威力を発揮するのか」と膝を打つ想いがしました。 また、当のドイツ人コンサルタントたちも、自分たちのスキルを活かすことで村民の生活が向上し、「ありがとう」の言葉をもらうことでアリさんのように目が輝いていき、明らかに仕事への熱量が増えていくのが間近にいる私にもよく伝わりました。 実は、日本企業の会社員がこのドイツ人と同じような体験をしてみたら面白そうだな、というところから留職プログラムは着想を得ています。

2年の任期を終えて日本に帰国されてからはどうしたのですか?

時を戻して私が大学を卒業してシリアに行く前、友人たちが送別会と題して飲み会を開いてくれたのですが、そこで出発前の興奮もあって私は「世界に貢献できる人間になるぞ」と勢いのいいことを言っていました。すると就職を間近に控えた友人たちは私を笑うことなく「俺はモノづくりの現場から日本を元気にする」、商社に内定している友人は「ビジネスを通じて世界の経済格差を是正したい」と打ち明けてくれ、「いいじゃん!互いに頑張ろう」と盛り上がりました。 2年が経ち、私が帰国したことでまた同様のメンバーで飲んだのですが、私がシリアでの体験や今後の展望を熱く語ると、周囲は明らかにどん引きしていました。「お前はまだそんな熱いこと言っているのか」「そういう理想、社会では通用しないよ」「お前も早く会社に入って大人になれ」と言われショックを受けたことも、今クロスフィールズの活動をする原動力になっています。 かつては息巻いて希望を語っていたのに、就職して2年経った友人たちはすっかり世間のルールに縛られている。企業も「志や想いをもった学生に来てほしい」と採用活動でうたい、そういった学生を集めているにもかかわらず、入社後にはすっかり骨抜きにしてしまっている。日本社会を覆う閉塞感に強い危機感を抱きました。 ただ、その「おかえり会」には続きがあります。二次会の場で、「さっきは言えなかったんだけど、実は……」と私の想いに共鳴してくれた友人たちが何人かいました。そこでまずは定期的に集い、社会起業家と語り合う勉強会を発足。最初は4人でのスタートでしたが、人が人を呼びどんどん増えていき、最終的には延べ人数で1000人が参加したほどの大きなムーブメントになりました。 勉強会の場では、多くの若者も私と同様に危機感を抱いていたことが分かりました。ただこうやって課題感をもつ者同士だけで集まっているだけでは、会でどれだけ熱く語ろうとも解決になりません。なんとかこの動きを事業につなげられることはできないか。こうして留職プログラムを事業化する第一歩を踏み出しました。 シリアから帰って来た直後は、ドイツ人コンサルタントたちの影響もあって外資系コンサルティング会社に就職していた私でしたが、こうして2011年クロスフィールズを立ち上げるに至りました。

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青年海外協力隊からコンサル、そしてNPO起業とユニークな経歴ですね。

私の経歴を見て、「なぜこのようなリスクをとるのか」という質問をされる方がいます。ただ私からすれば、死ぬ間際に「もっと挑戦しておけば良かった」と後悔するのだけは嫌で、後悔することこそがリスクなんです。そのためには行動を起こすしかありません。 この事業を運営していて感じるのは、日本の若者も二極化してきているということです。危機感を抱いているのは共通していて、今のような生活や組織の枠組み、経済状況が20~30年後には大きく変化しているだろうという認識は皆なんとなくもっています。ただそこでふたつのタイプに分かれます。 前者は、変化はもう避けられないのだから自らも変化しようと前向きに捉えるタイプで、後者は安定して見える方向へと進みそこにしがみつくタイプです。前者のタイプには、その想いを開化させ成功モデルを作ってほしい。そして、とにかくいきいき働く姿を周囲に見せて、そういう前向きな人たちを増やしてほしいですね。 後者は、沈みゆくタイタニック号にいつまでもしがみついているようなものです。危機を察知していち早く船から抜け出した人々の声に、耳を傾けてみてほしいんです。そして「リスクとは一体何のことを指すのか」、自分の人生の意味を見つめなおして欲しいと思いますね。 私たちクロスフィールズはNPO法人です。利益を創出することが第一の株式会社とは異なり、社会課題の解決を第一の目的としています。 私たちにとって課題とは、目を輝かせていきいきと働くことができない日本社会のあり方です。日本のビジネスパーソン一人ひとりが、アリさんのように輝いた目をして情熱と誇りをもって働く、そんな世界を創りたいです。留職プログラムを通じて、かかわった人々が働く意義を見つめ直し、目の輝きを取り戻せるように今後もお手伝いしていきたいと思います。

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