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コールセンター業界のスターバックスを目指す-株式会社サウザンドクレイン代表取締役社長 高橋 良太氏が、10年かけて作り上げたビジョンとは?

Posted on 2014年09月02日
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アウトバウンドに特化したテレマーケティングを行う事業を主体に展開する株式会社サウザンドクレイン代表取締役社長の高橋氏。2003年の大学在学中に創業して以来、10期連続の増収を果たしている。2012年7月、ベトナムにBPO事業の現地法人サウザンドクレインベトナムを設立。2014年3月にはフィリピンに進出し、セブ島に多言語コールセンターを設立した。積極的な海外戦略に、業界の注目が集まっている。

優秀な人間を現地に送らないと失敗する

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ベトナムでBPOセンターを運営されていますが、現地スタッフの日本語の精度に不安はないのでしょうか?

ベトナムに視察に行った際に、現地の大学に行って学生の日本語のオペレーションスキルを見たのですが、非常にレベルが高いので、不安はありません。 日本語検定資格1級取得者であればほぼ問題なく、上級資格取得者の中には日本人よりも日本語に詳しい人がいることも。現在ベトナムのスタッフは80人いるのですが、ほとんどが大学で日本語を学んだ女性です。 現状、大学で日本語を学んだ文系学生の就職先は、空港や日系レストランなどのサービス業くらいしかなく、オフィスワークができる日系企業はあまりないため、BPOの職場は非常に魅力的なようです。 また、日本語を学んだ学生を新卒で雇っても、当時のレートで一ヶ月の初任給が250ドル。つまり、日本の10分の1の給料で新卒の優秀なスタッフが採用できます。 そして、日本語学部の卒業生を雇うと、後輩の学生がアルバイトで来るんです。時給が高くて先輩もいる、かつ、日本語を学べる職場で非常に喜んで働いてくれています。

今後、ベトナム拠点はもっと拡大していくのでしょうか?

そうですね、おそらく今後は日系の顧客企業からの委託案件が増加するはずなので、現在の80人から、近い将来には今の2〜3倍の規模にしたいと思っています。 そのためにも、日本語に堪能なベトナム人を安定的に採用するために、ベトナム国内の6大学との提携を進め、日本語学科の卒業生の受け入れ体制を整えています。

世界を代表するグローバルマーケティングカンパニーを目指して

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ベトナムの拠点を立ち上げられて、大変なことなどはありますか?

正直、ほとんどありません。ベトナムでは、より良い待遇を求めてジョブホッピングが当たり前のように行われているため、優秀な人材を採用してもすぐに辞めてしまうのではないかという不安がありました。 ようやく業務に慣れた頃に辞められてしまっては、業務レベル向上の面でも、採用コストの面でも大きな痛手です。しかし、スタッフの定着率はかなり高く、取り越し苦労に終わりました。 コミュニケーションを密に取りながら、居心地の良い環境を作り、仕事に対して公平な評価をすれば、人はそう簡単には辞めないものです。これは、日本人だろうが、ベトナム人だろうが同じです。 私も毎月1週間はベトナムに行くのですが、滞在期間中は必ず社員と食事をする機会を持ち、関係を深めるようにしています。

現地へは駐在員の方がいらっしゃるのでしょうか?

日本からベトナムに6、7人行っています。私にとって右腕と呼べるくらい信頼できる役員を現地に送りました。 海外展開をする際に、どれだけ優秀な人間を現地に送る勇気があるかが大事で、それができないと失敗すると思いますね。距離がある分、自分の分身になれるくらい信頼できる人を現地に送り込むことが重要です。 また、定期的に国内の社員たちを順番にベトナムのオフィスへ出張させています。ベンチャー企業のなかには、社長はよく海外に行っていても、社員は国内業務に専従させられている会社がよくあります。 社長だけがグローバル化しても意味がありません。会社が何を目指していて、これからどう動こうとしているのか。その最前線を自分たちの目で見て、感じてもらうようにしているのです。 また、入社3年目以上の社員については、将来の海外進出に備えて、オンライン英会話を無料で受講できる制度も導入しました。

ベトナムでビジネスを始めたことに対する、企業からの反応はどうでしたか?

実は、マーケットとして見た時、コールセンターよりもBPOの事業の方が日本国内でのマーケットの規模は5倍ほど大きいのです。 そのため、インターネットでリスティングを行ったり、「データ入力」という言葉でSEOをかけたりすると、問い合わせが5倍になりました。また、ベトナムでやっているとはいえ、データセンターは日本国内にあり、クラウド上でそれを使っているので、個人情報が海外に出るということはありません。 当社の福岡支店で業務を行っているのと同じ感覚ですね。ベトナムに拠点を持ったことにより、今までよりもクオリティは変わらずに、安くできるようになりました。        

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ベトナムの次は、フィリピンのセブ島に新たなコールセンターを立ち上げられていますが、なぜフィリピンだったのでしょうか?

フィリピンは世界で一番のコールセンター大国だからです。フィリピンでは一定の教育を受けている人は基本的に英語が話せますし、発音もネイティブに近い。そして人件費が安いのも魅力です。 実際にアメリカの名だたるコールセンター会社がフィリピンに拠点を置き、アメリカ本土を中心とした英語圏の消費者向けにテレマーケティングを行っています。 当社がフィリピンに英語のコールセンターを立ち上げようとしているのも、アメリカ市場への進出を見据えてのことです。日本の何十倍もの規模を持つ世界一のアメリカの通販マーケットを本気で取りにいきたいと思っており、社員たちにも「次はアメリカ進出しよう!」と言っています。 さらにその先には、英語圏以外の国への進出も視野に入れています。我々が目指しているのは、コールセンター業界のスターバックスになること。どこの国に行っても、「サウザンドクレイン○○○」という看板があり、各国で事業展開している状態を実現したいですね。

今後のビジョンについて教えて下さい。

私たちの業界は、基本的に物の作り手と買い手がいる限りなくならないもので、どの国でも通用すると思っています。 世界展開を押し進め、日本の1億2千万人のマーケットに対するサービス提供ではなく、世界70億人に対するサービス展開をするためには、3つのことが必要です。 ひとつ目が、海外展開に慣れること。ふたつ目が、海外にいつでも誰でも行けるような体制を整備すること。3つ目が、社員全員が英語を話せるようになり、最終的には今行っている事業を英語のマーケットですべてできるようにすること。 「世界を代表するグローバルマーケティングカンパニー」が当社のビジョン。 創業から10年かけて、ようやく経営理念からビジョン、各セクション、事業セクションが繋がっている状態になりました。ここからさらに、ビジョンの実現を目指して海外への展開を進めていきたいと思います。

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