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外需大国シンガポールから、⽇本のあるべき姿を学ぶ-Tree Islands Singapore Pte Ltd ⽊島洋嗣氏が進める、日本の大都市のハブ化とは?

Posted on 2014年08月05日
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シンガポールをアジアのハブ拠点として活用しASEANや世界に出ていく為の経営情報を提供する統括・ハブ機能研究所。その所長であり、Tree Islands Singapore Pte Ltd代表取締役社長である木島氏。東京・大阪・シンガポールでのセミナー開催や、日本の大都市をシンガポールのような国際ハブ都市にしていく活動も行う。シンガポールを拠点に、日本・香港・カンボジア・ドバイなどで事業展開している。

見習うべきは、シンガポールのハブ都市政策

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今後はシンガポール以外への進出を考えられているのでしょうか。

よく「なぜ他のアジア各国へ進出しないのですか」と聞かれるのですが、弊社は統括・ハブ機能を研究しているのですから、統括・ハブ機能がおけるような国にしか展開しません。 現在は中国のハブである香港と、中東のハブであるドバイに展開中です。 「日本に本社があって、シンガポールにも拠点がある」というのが多くの日系企業の現時点での姿ですが、「本社をシンガポールに移転して、日本は支社という位置づけにしよう」という発想がでてきてもおかしくないわけです。 実際に、シンガポールへの本社移転に関する相談は増えており、すでに本社移転を実現させた企業も現れています。 私は、ビジネスには世界中どこででも行うことができるものと、特定の土地でしかできないものの2種類あると思っています。 もし、顧客の9割が日本人ならば、日本で行った方がいいと思いますが、たとえば国際物流や国際金融など、特定の場所でなくてもできるものであれば、世界のどこでやってもいいのです。 こんな話をすると、私が日本の空洞化を押し進めようとしているように思われるかもしれませんが、私は日本の未来について、シンガポールから学べることを考え行動しています。

シンガポールが日本の未来を支える

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シンガポールから日本が学べることとはなんでしょうか?

そのご質問をよくいただきますが、人口540万⼈のシンガポールから人口1億2千万⼈の日本がそのまま学べることはありません。 しかし、東京・大阪をはじめとする日本の大都市の在り方について、都市国家シンガポールから学べることはたくさんあります。 シンガポール・チャンギ国際空港は毎年シンガポール人口の約10倍の人が訪れており、シンガポールの港は東京港の約8倍の貨物がやってきます。世界中から人・モノ・カネを集める努力をし続けてきたからこそです。 その結果、世界中から企業のアジア本社、世界本社が集まり、物流・金融などの産業が栄え、石油化学産業など高付加価値な製造業の集積も起こっています。 カジノ・ホテル・コンベンションセンター・ショッピングモールを一体的に運営する総合リゾートも建設され、一大観光産業も形成されています。 インフラを早くから民営化したため、シンガポールの航空会社や港湾管理会社、水道会社、地下鉄会社などが世界中で事業を行っています。日本が人口減少社会に突入した今こそ、これらの政策を日本の大都市で実現させることが日本の大都市再生の切り札であると考えています。

具体的には日本のどの都市でシンガポールのような政策を実現できるとお考えですか?

現在進行中の「大阪都構想」は極めてこの政策に近いです。 残念ながら東京はまだまだ内需でいけるだろうという安心感からか、こういった話はあまり進んでいません。 成田・羽田の経営統合、東京湾・横浜湾の民営化などの話はほとんど進んでおらず、すでに経営統合している関西伊丹を保有する新関空会社の運営権売却や大阪府市港局の統合と民営化などが政策としては先行しています。 統括・ハブ機能研究所では、シンガポールのハブ都市政策を大阪府市とともに実行すべく具体的に活動しています。

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木島さんの考える今後の日本の都市の成長戦略を教えてください。

日本はこれまで国内経済が発展し、内需も拡大を続けてきました。しかし、これから日本の内需は縮小します。この時代においては外需依存度の大きいシンガポールのような都市国家をヒントに、いかに外から人・モノ・カネを引っ張ってくるかを考えなければなりません。 その為には東京や大阪などの大都市に注目し、都市と地方で異なる経済戦略をする必要があるでしょう。 日本を一括りにするのではなく、日本国内に小さいシンガポールのような都市を点在させる。これが私の日本の成長戦略です。 このように、日本にいるよりも海外から⺟国を見ることで、日本が今後⽬指すべき姿も⾒えてくるようになりました。 シンガポールから日本を応援する姿勢、シンガポールが日本の未来を支えるという視点を、これからも持ち続けていきたいですね。

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