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シンガポールの「多様性」に2年間どっぷりつかってみて、分かってきたこと

Posted on 2016年02月04日
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さまざまな人種構成のシンガポールを 就職先として選択する理由として、 「多様性がある」というところに惹かれたのは私だけではないと思います。

 

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複数の文化や宗教が存在するだけでなく、

税金や制度の観点から起業しやすい条件が揃っているため、

ベンチャー企業も活発です。

そんな環境は必然と世界各地から人材とビジネスを集めています。

 

私がシンガポールで働くことを選択したのも、

「今が熱い進化するアジア」に身を置きたいということと、

その魅力的な「多様性」が大きな要因でした。

多様性や異文化に対して感じることや考え方は

千差万別だと思いますが、

今回は、私がシンガポールに2年ほど暮らしてみて

実際に思うことを赤裸々に書いてみます。

 

「ガイジン」と呼ぶ文化は日本だけだと思っていたけれど……

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この日のマレー料理クラスでは、北欧、西欧、アジアから6ヶ国の人が集まった

 

多様な人と関わりカラフルな文化のある生活をしたいというソフトな面と、

多様な人と仕事をするスキルを得たいというハードな面

私の就職の際のモチベーションでした。

そこにある人間関係、仕事、文化の対立と尊重、社会の多様性受容力は、

海外出張を多数重ねても、

いくら日本でグローバルなやり取りをしていても

なかなか見えないだろうと思ったからです。

 

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カラーパウダーをふりまき、音楽に合わせて踊るインドの「Holi」祭はシンガポールでも開かれる

 

多様性のなかで学ぶのはとても面白いことですが、

多様な価値観・宗教・人種が小さな国に混在しているというのは、

すべてが簡単に整頓されているとも言い難いのが実情です。

 

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マレー系プラナカン文化の残るカトン地区には、カラフルで伝統的な家が並ぶ

 

シンガポールは、

国外からの移民受け入れを活発化しすぎたために、

現在では外国人規制目的で就労ビザの許可が

年々下りづらくなっています。

「ローカルの人の雇用機会が外人に奪われている」とか、

「社会的マナーが脅かされている」などと言われ、

「外国人」は社会問題のひとつでもあります。

 

日本は過去移民をあまり受け入れてきませんでしたが、

少子高齢化問題やグローバル化への対応として

国外から人を入れようとする動きが出てきています。

以前は外国人を積極的に入れていくことが課題だったのが

今では規制するシンガポールに身をおいて、

私自身グローバル化に対する視野が広がった気がします

 

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ひとつのテーブルにマレースパイス、中華料理、インド系の麺など多要素がのっているのも珍しくない

 

シンガポールでは、

白人・西欧人は「Ang Moh(アンモ) = 紅毛」と

ローカルスラングで呼ばれています。

伝統的に独自文化を築いてきた日本は、

日本人にのみ適応する心地よい文化ももっています。

一方で、同質性・均質性を重んじるから「違い」を

なかなかポジティブに尊重することが

浸透していないということもそこに起因するでしょう。

そのため日本国外出身者を「ガイジン」と呼んで

ボーダーをはってしまいがちなところは、

私は日本特有の問題なのではと思っていました。

しかし、移民を受け入れてきた多様な人種が存在するシンガポールでも、

似たような概念が存在することを知って見方は変わりました。

グローバル化時代で国際的な社会を実現することが、

いかに容易でないかを考えさせられます

 

シンガポール独自の文化って何だ?

中華系、マレー系、インド系を含むシンガポール人、

韓国人、香港人、アメリカ人、インドネシア人……、

私の私生活・仕事環境では、

毎日多様なバックグラウンドをもつ人々と関わることが日常です。

ごはんを食べながら、それぞれのカルチャーの違いをネタに笑ったり、

ひとつのテーマに対して違う角度から意見が出たりする場面は多くあります。

 

ローカルの友達に、

「日本は、独自の文化や歴史があっていいね。

シンガポールは、色々なカルチャーが混在していて

何がシンガポールらしさなのか、シンガポール人なのか言いきれない」

ということを言われたことが何度かあります。

 

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私自身、「多様な文化がある」ことこそが

シンガポールの文化だと思っていて、

その独自性についてはよくわかっていませんでした。

しかし、シンガポールにどっぷりつかってみて、

新たな視点がそこにも入ってきました。

 

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10年シンガポールに住んでいるインドネシア人インストラクターとヨガタイム

 

インド系シンガポール人は、

インド生まれインド育ちの人々と同じではありません。

シンガポールで話されている中国語は中国本土のそれとは違い、

シンガポール独自の中国語コミュニケーションが存在しています。

どこの国にもない、シンガポール特有の

素晴らしいカルチャーは確かに存在しています。

 

ただ、それもまだ50年。

建国の父、リー・クアンユー元首相が

建国50周年を迎えた2015年に亡くなりました。

歴史はまだ動き出したばかりです。

しかし、もの凄いスピードで発展しているシンガポールが、

これから固有の文化を発展・成熟させていくのかが、

私は楽しみです。

ライター

Erisa

平成元年生まれ。都内の大学を単位ギリで卒業後シンガポールに渡り、米リサーチ企業入社。2015年秋より米大手IT企業に転職し、新な成長痛に奮闘中。仕事も生活も、シンガポールでのいろんな人と文化に囲まれカラフルな日々。好きなものは、人・食べること・飲むこと・旅。

カフェとか可愛い要素皆無の海外就職の仕方、グローバルとキャリアについてのブログ『新卒海外就職啓蒙プロジェクト

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Erisa

平成元年日本生まれ・日本育ち。都内の大学を卒業後、新卒でシンガポールの米系リサーチ会社→マイクロソフト→引き続きグローバルIT分野の営業で成長中。キャリアもライフも、多様性あるの人と文化の中で生きていたい。枠組みにとらわれない自分らしい選択とデザインに基づいて、グローバルリーダー&グローバルシティズンを目指して・・。新卒海外就職から始まり、海外経験、グローバルビジネスからシェアできること。ブログ ”Be ME - グローバルライフ&キャリア構築プロジェクト”:http://be-me-erisa.blogspot.sg

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