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【後編】インドネシアに日本のクレープを届けたい〜MOMI&TOY’Sインドネシア事業部長 桐原龍さん
日本発祥のクレープ店MOMI&TOY'S (モミアンドトイズ)のインドネシア事業部長である桐原龍さん。20代という若さで、アジア各国の店舗立ち上げをされています。桐原さんが海外に興味を持ったきっかけや、今後のご自身の目標について伺いました。
海外では、日本で出来ない経験が出来る
昔から海外に興味を持たれていたのでしょうか?
海外に特別な興味を持っていたわけではありませんが、小学校からオーケストラに所属していたため、ヨーロッパには関心がありました。
海外のことを強く意識したのは、17歳でドイツ・オーストリアへ海外公演に行った時。飛行機に乗って見たこともない土地で言葉も通じない人々と触れ合い、音楽という共通の言葉で意思疎通をする、生まれて初めての異文化交流でした。
「日本に留まっていては絶対に経験できないことが海外にある」と実感。
しかし、私にとって海外というフィールドは単に「憧れの地」や「旅行先」であるだけで、「その地に住んで働きたい」という想いはありませんでした。
その後、20代の半分以上を日本以外のアジアで過ごすことになるとは、全く想像もつきませんでしたね。
海外で働く上で工夫されていることは何でしょうか?
コミュニケーションの方法にはいつも気を配っています。言葉や文化が異なる者同士なので、お互いに何を言っているのか分からない、なんてことが多々あります。
相手が伝えている内容にじっくり耳を傾ける。片言になってもいいので自分もとりあえず喋る。それでもダメな場合は筆談してみたり、ジェスチャーをしてみたり、携帯を使ったり。
どのような形でも伝え合おうと努力する姿勢が重要です。
日本語での伝え方も意識するようになりました。シンプルに、論理的に、わかりやすく伝えることが一番。
これは何も話し言葉に限ったことではなく、メールなどの書き言葉にも通じています。とにかく量をこなすことでしか言葉や文章は上達しないと思いますね。
外国語に関しては「楽しんで覚える」ことがモットー。私はドラマや音楽を通して現地の言葉への理解を深めています。
台湾でもインドネシアでも、始めは全く言葉がわからない状態でした。英語で意思疎通が出来るサービス業就業者もいますが、実際はほとんどわずかです。
中国語(マンダリン)は、台湾や中国本土のドラマを見て覚えました。特に台湾ドラマは字幕が入っていることが多いので勉強にはもってこいです。
インドネシア語は音楽が非常に効果的でした。現地の音楽はレベルが相当高い。人々はとても器用に歌や楽器の演奏を楽しんでいて、上質な音楽がインドネシアに溢れています。
お気に入りのインドネシアンアーティストの楽曲を聴きながら、楽しく言葉を習得していますね。
インドネシア人の舌を肥やすお手伝いがしたい
桐原さんが海外で出会ってきた中で面白いと思う方は、どんな方ですか?
年齢関係なく、リスクを冒している人は面白いと思います。面白い人は常にやりたいことをもっていて、ポジティブです。
きちんとした想いがあるから、しっかりと根が張っている。「海外では面白いことができる」と言って、50代でも年齢関係なく飛び込んでいる方々もいて、本当に尊敬しますね。
その一方で、会社の都合で渋々海外に滞在する駐在員の方々も。彼らは「日本だったらこうなのに」という自分の当たり前に捉われ過ぎている気がします。
日本とは文化や慣習も違うことを理解した上で「インドネシアって良い場所だね」と思える人が好きですね。
桐原さんは、今後の目標をどのようにお考えでしょうか?
インドネシア全国に弊社のクレープブランドを広げたいです。現在はジャワ島とバリ島拠点のみですが、今後はその他の都市へ出店を進め、クレープの文化の拡大をインドネシア全土で進めて行きたいと思います。
インドネシアのどこでもクレープが食べられる環境に出来たら良いですね。そのために着々と準備を進めています。
同時に食文化の向上にも取り組みたいですね。昨年から開始したクレープ教室には既に1000名以上の方々に参加頂きました。
しかし、参加者の多くは日本人で、インドネシア人の応募はまだまだ少ないのが現状。各都市の店舗でクレープ教室を実施して、より多くのインドネシア人にクレープに触れてもらえれば、日常的にスイーツを楽しむ文化が育まれると考えています。
「インドネシア人の舌を肥やすお手伝い」が出来たら更に意義深い事業になるのではないでしょうか。
自分自身の今後に関しては、今のポジションは事業部長なので、もう少し上の視点から経営を見れるようになりたいですね。
人の成長にゴールはないと思っているので理想像はありませんが、どのように成長していくのかを重視して、自分の信じる道を突き進んでいきます。
また、インドネシアの事業だけでなく、個人的には社会起業家やカフェ経営にも興味がありますね。地域社会に根付いたコミュニティの形成がしたいんです。
みんなで出来ることを協力して持ち寄って集うような、複合的なジャンルが交わる場所を作れたらなと。
事業は実現可能性ではなく、持続可能性を見ていく必要があると思うので、将来の夢のために今は自分に与えられた環境の中で結果を出し、実力を付けていきたいと思います。
プロフィール
桐原 龍/Ryo Kirihara
MOMI&TOY'Sインドネシア 事業部長
早稲田大学出身。在学中は音楽活動に専念。大学卒業後は、日本にて飲食ベンチャーへ就職し、半年後台湾へ出向。台湾にて2年勤務の後、同ブランドのインドネシアの現地企業へ転籍。妻は台湾人。
by Nnn