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「憧れだけではなく、目標を持って海外へ」未知への挑戦が、あなたの人生を輝かせる〜クロスコープシンガポール代表取締役 庄子素史さん〜

Posted on 2016年07月27日
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アジアの中でも特に競争が激しい、シンガポール。熾烈なグローバルビジネスの現場で日々闘う、クロスコープシンガポール代表・庄子素史さんは「失敗を重ねて成長する」経験が何よりも重要だとおっしゃいます。

ご自身も数々の失敗を成長の糧にされてきたからこそのアドバイスを頂きました。

前編に引き続き、「現場」を重要視する庄子さんのアジアでの働き方に迫ります。

 

インドでの工事遅延、その驚きの解決方法とは

庄子さん自身が経験した“成長につながった失敗”のエピソードはありますか?

シンガポール、インドネシアに次ぐ3カ国目のオフィスをインドに作った時のことです。

シンガポールで2ヶ月半かかった工事だったので、余裕を持って3ヶ月の計画を立てました。でも実際に完成したのは5ヶ月後。

延期した2ヶ月間は家賃が発生してしまうので、収入はないのに数百万円の支出がある状態で、大きな痛手でした。

色んな人たちが「インドだから工事が遅れるのはしょうがない」と言うのですが、私は痺れをきらして工事の途中でインドに行き、オフィスができるまでの1ヶ月間はずっと現場を見ていました。

そして、そこには現場に行かなければ気づけなかった “工事が進まない理由”があったのです。

 

いざ現場入りすると、とにかく人が働いていない。ラジオを聞きながら寝ていたり、トイレにある水道管に勝手にホースを繋いで体を洗っていたり。

私も「これは工事が進まないはずだ」と納得(笑)。インド人の現場監督に話を聞く中で、地方から出稼ぎに来ているワーカーたちの驚くべき考えが分かりました。

住み込みの工事現場だったのですが、雨露がしのげてトイレもシャワーも使え、日払いで数百ルピーの収入が入ってくる現場は、彼らにとって快適な環境だったんです。

なぜなら、彼らはもっと劣悪な環境で暮らしていたから。「ここにずっと居たい」という話を聞いて衝撃を受けました。

 でも、ワーカーたちを雇う工事会社側のコストが増えるのでは?

それが、ならないのです。日本なら建設費1億円の案件であれば、下請けもその金額内でマネジメントしなければならないので、不要なコストは削減します。

でもインドでは、例えば3千万円かかる案件だとしても、あらかじめ工事の延期を見越して4〜5千万円で受注します。

その中でワーカーたちの給料が占める割合は微々たるものなので、下請け側は痛くもかゆくもない。ワーカーたちは、工事が延びれば延びるほどこの快適な環境に長く入られて、家族にも送金ができる。

これで一番損をするのは、施工を依頼した弊社側です。現場に行って初めてこの図式に気付きました。

 そこからどんな方法で工事を進められたのでしょうか

インド人はウェットな人間関係を大切にしていると教えてもらったので、まずは彼らと仲良くなろうと決めました。

そして毎日スーパーマーケットに行って、お菓子や日本のカップヌードルを山ほど買い、ひたすら現場で配ったんです。

言葉が通じない彼らに好かれるには、プレゼントしかないと思った苦肉の策でした。お腹が空いているかもしれない、海外のチョコレートをあげたら喜ぶかもしれない、という単純な発想だったのですが、最初はみんなびっくりしていましたね。

でも、私から「これあげるから頑張って」とは言わず、帰り際、マネージャーたちに「あとはよろしく」とだけ伝えて去りました。

 

それを約2週間続けると、ワーカーたちに変化が現れたんです。毎日お菓子を持ってくるこの人は、このオフィスが出来上がることを楽しみにしている人なんじゃないかと、だんだん気づいたみたいで。

ある日現場に行くと、唯一英語が話せる施工会社のインド人マネージャーが「ワーカーたちが動き出しました」と教えてくれました。

そこでようやく工事が終わる見込みも立ち、ホッとしましたね。

 

相手を理解しようとする姿勢さえあれば、国籍は関係ない

 インドでの経験から、どんなことを考えましたか?

この時に「答えは現場にしかない」ことに改めて気付かされ、とても反省しました。

海外でも現場志向であるべきなのに、他の仕事が忙しいことを理由に現場に出向くことをしませんでしたし、他の国と同様、工事会社に任せていればオフィスが立つだろうと考えていたんです。

そして、現場での奮闘経験から、環境も言語も見た目も違う人同士でも、心と心で通じ合える瞬間を作れるということを実感。

そのためには、まずは相手を理解することが何よりも大切だと学びました。工事が延びれば幸せな人がいるなんて、日本の感覚ではありえませんよね。

課題を解決するためには、日本のやり方を通すだけではなく、現地の人に対する「なぜ」や「どうすればいいのか」を現地の人の感覚で考える姿勢が重要です。

 

現在、弊社のインド拠点責任者はインド人で、日本人は誰もいません。日本人がマネジメントするケースを否定するわけではありませんが、いつかは日本に帰りますし、やはり限界があると思っています。

それなら、ずっと残る現地の人に任せるマネジメントの仕組みづくりをする方が、結果的に継続する事業を作れるはず。

だから、たとえばインド人マネージャーが現場経験をもっと積みたいと希望すれば、現地のマネージャーを育てるために他の国に派遣することもあります。

優秀な人であれば、その人材を一番欲している場所に派遣して、海外経験豊富なグローバル人材を社内からどんどん輩出していきたいですね。

 

まずは行動!アジアの熱い空気感をぜひ感じて欲しい

これから海外で働きたいと考えている読者へ、メッセージをお願いします

海外で働きたい、挑戦したいと思っている人がいれば、まず行動を起こしてみて欲しいですね。

巷にある海外転職についての情報から得られるのは「気づき」に過ぎません。知識としては重要ですが、それをぜひ「現場での経験」に結び付けて欲しいです。

海外で働きたい人にとっての答えは、海外にしかないと思うので、いくら日本で知識を入れたところで実体験にはかないません。

海外特有の熱い空気感に触れながら得た経験は、きっと良い財産になると思います。それに、海外でマネジメントをしている人ってイキイキしている人が多いと思いませんか?

 すごく分かります。ポジティブな人が多いですよね。

日本でもイキイキ働く人はたくさんいますが、割合として見た時に、海外で働く人の方がそういう人が多い気がします。

それは、やはり「挑戦」しているからではないでしょうか。海外での挑戦はもちろん怖さもありますが、それを逆にワクワクに変えて、どんなことが起きても乗り越えようと思えるかが鍵になります。

そういう経験が、人を輝かせるのだと思いますね。

海外や国内、大企業やベンチャー企業など、様々なキャリアプランがありますが、どこで働くかは、ゴールに行き着くための「手段」にすぎません。

私が思うゴールとは、「輝きながら生き、満足できる人生を送ること」。そのためには、自分と似ている価値観を持って働く人たちがいる場所に飛び込むことが、一番の近道ではないでしょうか。

 ゴールに行き着くために最適な場所はどこかを、まずは考える必要があるのですね。

そうですね。なんとなく憧れだけで海外に来ることもできるのですが、その場合は、やはりなんとなくしかその国にいられないんです。

海外に居続けられる人というのは、この国で自分のキャリアをどうするかを明確に考えている人が多い。

だから、情熱を持って飛び込むことはもちろん重要ですが、「この国でこうなりたい」という目標を明確にしてくることをおすすめします。

  

プロフィール

庄子素史/Shoji Motofumi

クロスコープシンガポール代表取締役

青山学院大学卒業後、東京ディズニーリゾートを経営する(株)オリエンタルランドにて約8年間、テーマパーク・リゾートのマーケティングに従事。

2006年にソーシャルワイヤー株式会社を共同創業。2011年には同社インキュベーション事業の東南アジア市場への進出の責任者としてシンガポール移住。シンガポール法人立ち上げ後、ベトナム、フィリピン、インド、タイ法人/事業の立ち上げを担当し、現在はシンガポールから各国の事業を統括。各国の自社レンタルオフィスを利用している日系企業に対して、アジア進出のアドバイスから商品開発、販売計画、人材採用、税務面まで幅広くアドバイスを行うと共に、日本食の輸出拡大のアドバイザリーも務める。

【主な著書】共著『なぜ、私達はシンガポールを戦場に選んだのか?』(ゴマブックス出版)

 

 

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Ambassadorのプロフィール


濱田真里

海外で働く日本人に特化した取材・インタビューサイトの運営を2011年から続けている。その経験から、もっと若い人たちに海外に興味を持って一歩を踏み出してもらうためには、現地のワクワクする情報が必要だ!と感じて『ABROADERS』を立ち上げる。好きな国はマレーシアとカンボジア。

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