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キャリア設計の第一歩に「自分との対話」をすすめる理由〜台湾ワーホリから中国・深センでドローン事業を立ち上げた川ノ上和文さん〜

Posted on 2017年09月10日
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xyZing.innovation(翼彩創新科技(深圳)有限公司)CEOの川ノ上和文さんが、寿命100年時代のキャリアを高める戦略的ワーホリ論について語る連載の第7回。「若者が抱える悩みは日本も台湾も同じ」と話す川ノ上さんに、これからを生き抜くチカラになる「自分との対話」についてお話を伺います。

台湾でも?「自分が分からない」若者たち




台湾の大学生達との交流

-台湾の若者に出会う中で、何か気づいたことがあるとか?

川ノ上:台湾にいた頃は現地の大学生向けセミナーにも参加していたんですけど、そこで話をしてみると「日本と同じだなあ」と思ったんですよ。というのも、台湾人の学生たちも日本の学生たちと同じように「進路をどう決めたらいいか分からない」「自分ってなんだっけ?」という悩みを持っていたからです。

台湾と日本は特に社会情勢が似ているからかもしれないですが、世間一般に“決められた生き方”というか、ある程度形になったキャリアプランがあって、大学生まではそれに乗っていれば安心だったのに「就職」が見え始めた頃から状況が変わってくる。

自ら選ばなければならないタイミングになって初めて「自分」というものの理解を始めるのだから、それは迷ったり悩んだりしますよね。

一方で欧米は“個性を作る”教育だから、小さい頃から「自分との対話」をする機会が日本に比べると圧倒的に多い。カリスマ的な個人が強いタイプの起業家が欧米から多く輩出されるのも、そういった環境が影響しているんだろうなと思いますね。このような教育文化について台湾人教育家が比較した本がとても印象に残っています。その本はアメリカ、ドイツ、ユダヤ、日本の各文化圏のママが教育で大切にしている価値観を深掘りした内容でした。

アメリカは「自信」、ドイツは「自律」、ユダヤは「思考」、そして日本は「責任」だったんです。これらの言葉を見て、日本以外の教育文化には「自分」、そして日本はより「社会」や「他者」に軸をおいていることが分かり、すごく腑に落ちたんです。

社会の調和を保ち、集団意識を重んじることで生まれる「和」がある反面、「個」を深掘りする機会が少ない現状があるのではないかと。

-それでは、川ノ上さんが「自分」を理解するためにやっていることとはありますか?

川ノ上:前回(Vol.06)お話しましたが、私の場合は「言葉にして残すこと」です。今でこそFacebookのようなSNSで代用していますが、記録を始めたのは本を沢山読み始めた19歳の頃で、その後の2008年〜2010年までは“3年日記”を毎日書いていたこともあるんですよ。

でも当初は「日記=自分との対話」なんてことは考えていなくて「学びの実績を残したい」とか「書かないと学んだことを忘れちゃう」くらいの気持ちでした。

でも3年ほど経って見返した時に「あ、これは気づきがあるな」と思ったことがあって。それからというもの、記録は「未来の自分のためのものだ」と感じるようになって、日記やSNSを通じて「この瞬間感じたことを言葉に残す」ことを意識的にするようになりましたね。



「自分との対話」うながす日記の効能


※3年日記

-3年日記には具体的にどんなことを書いていたんですか?

川ノ上:そうですね、特に意識していたのは「行動の記録」と「成功体験」それから「感情」の3つでしょうか。

私は本を読むのが好きなので、“どんな本を読んだか”というような「行動の記録」がまず1つ。2つ目の「成功体験」っていうのは、何も大きなことでなくても良くて……例を挙げると「早起き」です。

私の中で「早起き」は一日を快適に過ごすために必要なことだと思っていたので、立派な成功体験のうちの一つなんです。だから早起きできた日には“何時に起きたか”を記録しておきました。

それから3つ目の「感情」ですが、ポイントはその日にあった出来事を単純に羅列するだけではなく、“どういう風に感情が動いたか”を書くこと。感情って水ものなのですぐに忘れてしまうんですけど、文字にして残してあれば、当時の感情は時間が過ぎても蘇ってきますからね。

感情を蘇らせることのメリットは、当時の自分と現在の自分の距離感が掴めること。例えば3年前の日記を振り返った時、「3年前の自分はこういう風に考えていたんだ」と思う一方で、それを眺める現在の自分の感情が変わっていることに気づくはずなんです。過去の自分と未来の自分を見つめるプロセスが「自分の対話」です。

例えば、Facebookで1年前や5年前の投稿を改めて表示してくれる機能ありますよね。あれを見ると「去年ってこういう感じだったな」とか「1年でこれだけ変わったな」とか思うじゃないですか。

ああいう感覚がすごく好きなんです。「1年」という単位を基準にして、自分の軌跡を追うんです。さらに3年、5年後の自分のイメージを頭の中に持っておいて、きっと「今の自分」を「未来の自分」が見たら、こう思うんじゃないかなとか、未来イメージから逆算した面白いシナリオの妄想をしています。

時間軸を動かして過去や未来の「点」を思い出したり、考えたりして、今とつなげる「線」にしていくことが、自分を知る上ですごく効果があるなと思います。

-すごく分かります(笑)! 今と昔を比べてみると、変わったこともあれば変わっていないこともありますよね。

川ノ上:そうですね。振り返った時に見えてきた変化が良いものでも悪いものでも、自分が成長したなと思える部分もあれば、ここは全然変わらないなと思える部分もある。

あるいは「今興味を持っていることってあの頃のこの部分と繋がっているんだ」と気づけたりもします。こうした対話によって“自分を棚卸しする感覚”が掴めますよね。これがキャリアを創っていく時に、すごく役立つと思うんです。

自分の「好奇心」はどこへ向かっているか?

「ライフシフト」と「多動力」


-「自分との対話」がキャリア形成に役立つというのは?


川ノ上:対話を通じて自分を知ることは、すなわち「自分の好奇心がどこに向いているかを知る」ということかなと思っています。


例えば何かを「面白い」と感じた時に、しばらくしてから「自分はなんでこれを面白いと思ったのかな?」と問いかけてみるんです。


そうすると自分が、その対象のどんなところに関心を持ったのかが少しずつ分かってきて、自分の好奇心がどこに向いているかが見えてくる。こうして意図的に観察した「自分」は、キャリア設計を考える時にすごく役立つと思います。


「自分の好奇心がどこに向かっているか」ということは、意外と分からないものですからね。


だから私は、日記やSNS等で“言葉にする”ことを通じて、数年で自分に起こった変化や好奇心の向く先を観察してきたわけなんですけど、実は変わっていくのは自分だけじゃなくて「社会」も同じです。


ちょっと前までは「石の上にも三年」みたいなキャリアの築き方が当たり前でしたけど、今では『LIFE SHIFT』や堀江貴文さんの『多動力』のような新しいキャリア論が広がったこともあって、ここ数年で見ても、社会はどんどん変化しているなと感じます。


- なるほど、川ノ上さんのキャリアはまさに「多動力」を体現していますよね。


川ノ上:そうですね。私も以前から同じようなことを思っていたんですけど、これまではやっぱりマイノリティで、仕事を転々とする人は「ジョブホッパー」と呼ばれたり、学歴がないことも否定的に見られることが多かった。


もちろん軸のないジョブホッピングは今でもマイナスですし、以前もお話ししたように学歴が海外就労ビザ要件として重要になってくることもまだあります。


でも、堀江さんのような発言力のある人達によって新しい考え方が広まり、今では「やりたいことをやればいい」とか「いくつかの”タグ”を持つことがリスクヘッジになる」っていうような意見がよく聞かれるようになりましたよね。


やりたいことを知る一番の近道は「自分で経験すること」、まさにこれです。


私がこれまでやった仕事はすごく多いですよ。アルバイトも含めると、お正月の郵便配達、エアコン工場でのライン作業、ピッキング作業、コンサートの会場設営、居酒屋、深夜のタクシー洗車、縁日のテキ屋、キャバクラのボーイ、家庭教師、家電量販店のデジカメ販売、ビジネスホテルフロント、貿易事務、通関補助、スマホのソフトウェアテスト、英文翻訳、会議施設運営、留学サポート、イベント企画、中国語スクール、整体師……と色々なことをやってきました。


仕事以外ではプログラミングと空間デザインの学校、ビジネススクールなどを受講していました。また、バックパッカーとして中国40都市以上やアジアを回ったり、東京から沖縄まで自転車で横断したりもしました。


これらの経験を通じて、向き不向きや好奇心の源泉についての自己認識を深掘りできましたし、日々の意思決定にも大きく役立っています。『LIFE SHIFT』や『多動力』を読んで「やっぱり自分の感覚は間違っていなかった」と答え合わせするような気持ちで、すごく共感したことを覚えています。


- 「答え合わせ」ですか?


川ノ上:はい。たまにですが、これまでの「体験」から導きだした自分なりのキャリア論と、社会のトレンドを照らし合わせてみることがあるんです。


具体的には、書店でその時話題に上がっている自己啓発本やキャリアプランニングの関連書籍を読むことなんですが、例えば「様々な異分野の仕事や活動への挑戦」っていうことを身をもって体験したあとで、『LIFE SHIFT』を読んだりすると「自分の考え方はトレンドと同じ方向を向いていたんだ」と自信がつきますよね。


今でこそ自分がやりたいことをやっていますが、20代前半の頃は「このままでいいのか」という不安感がずっとありましたから。今は「答えを探す」のではなく、自分の道を切り開いて「答えにしていく」という考えに変わりました。本から得た新しい見方や知識によって、軸となる自分の考えに肉付けをすることもあります。


そうやって社会のトレンドと自分の進んでいる道や考え方との距離感を把握できるようになると、次は「自分のポジション」について考えられるようになると思います。自分一人の進む道だけではなく、変化の早い時代を生き抜くため、社会の中でどのポジションを狙っていくべきなのか。ここはぜひ考えたいですよね。


川ノ上さんが勝負の舞台に選んだ中国・深センは、“深センスピード”と名がつくほど「変化の早い環境」と言われています。


次回は、海外進出を狙う方必見!「グローバルな舞台を生き抜く方法」を伺います。


【プロフィール】


川ノ上 和文/Kazufumi Kawanoue


xyZing.innovation(翼彩創新科技(深圳)有限公司)CEO


大阪出身、中国・深セン在住。xyZing.innovation(エクサイジング イノベーション CEO/総経理。深センを軸としたアジアxMICEMeetings,Incentives, Conferences,Events)の事業開発をてがける。高校卒業後、東洋医学に関心を持ち北京留学。その後留学支援会社での講座企画、上海での日系整体院勤務、東京での中国語教育事業立上げ、台湾ワーキングホリデーを利用した市場調査業務に従事。新興国や途上国における都市成長やテクノロジーの社会浸透、人間の思考や創造力の開発に関心が高い。現在、ドローン活用の思考枠を拡げるための場として深センでアジアドローンフォーラムの開催準備中。

経験した日: 2017年09月07日

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