ABROADERS

  • HOME
  • 「伴走者」という立場から、人の成長に関わる〜NPO法人クロスフィールズ プロジェクトマネージャー 中山慎太郎さん

「伴走者」という立場から、人の成長に関わる〜NPO法人クロスフィールズ プロジェクトマネージャー 中山慎太郎さん

Posted on 2015年04月01日
0
387

JBIC(国際協力銀行)、JICA(国際協力機構)、三菱商事を経て、現在NPO法人クロスフィールズにて働く中山慎太郎さん。プロジェクトマネージャーとして留職(企業で働く人材が、新興国のNPOで本業のスキルを活かして社会課題の解決に挑むプログラム)のサポートをされています。さまざまな立場の組織を経験したからこそ見えてきたことや、この組織で働くことで感じるやりがいとは?

シリア難民たちの生き様を見て直面した、自分の生き方

クロスフィールズに入社されるまでに3社で働かれていますが、なぜクロスフィールズで働こうと思われたのか教えて下さい。

一言で言うと、「人の成長に関われることがしたい」という自分がやりたいことと繋がると思ったからです。

今までにさまざまな企業で働くなかで、自分が一番やりがいを感じる仕事って何だろう?という問いに対する答えをずっと考えていたのですが、結論は、世界を飛び回って仕事をすること自体でもなく、目立つ仕事をすること自体でもなく、人の可能性を引き出したり人の成長を側で応援したりする時に自分は一番喜びややりがいを感じるということでした。

教師になるという道も考えたのですが、私は活き活きと輝いて仕事をしている大人が増えることで、子どもたちが大人になることをもっと楽しみに思うような世界を作りたいと思いました。

だから、すべての人が、「働く」ことを通じて、想い・情熱を実現できる社会、というクロスフィールズが掲げているビジョンに共感し、ここで働いてみようと思ったのです。 

元々、2006年に新卒で入社したJBIC・JICAで途上国のODA支援をしていました。

途上国のインフラ開発に公的な立場から関わることができる仕事にはとてもやりがいを感じていたのですが、民間の立場からもインフラ開発に関わってみたいと思い、2012年に三菱商事に転職。そして2年勤めた後、クロスフィールズへ。

前職の仕事もとてもやりがいがありましたし、素晴らしい上司・同僚にも恵まれていたので、正直、辞めるつもりは全くなかったのですが、一歩を踏み出すきっかけになったのは、旅行で訪れたヨルダンでのシリア難民の方々との出会いでした。

家族をなくし、家も追われてお金もない、そんな状態でも力強く生きている姿を見て、ただただ、人間ってすごいなと思いましたね。

同時に、今の自分はその気になればどの国にでも行けてなんでも挑戦できる環境なのに、彼らに対して恥ずかしくないくらい精一杯生きられているのだろうか、と強烈に自問自答させられました。

その時に、改めて、自分は人の可能性を引き出すことで世の中の役に立つことがしたいな、と思ったのです。

そんな時にクロスフィールズの求人を見つけ、思い切って挑戦しようと決意して応募しました。

伴走者として、一番近くで人の成長に関わりたい。

現在されている仕事内容について教えて下さい。

プロジェクトマネージャーをしています。

企業が留職プログラムを導入して下さったところから、私たちの仕事は始まります。

まずは社内で留職に行かれる方の選定、留職者の方が決まったら、その方の持っていらっしゃるスキルやご経験をヒアリングして、活動して頂く現地団体とのニーズマッチングを行います。

留職先の団体が決まってからは、出発までの間に事前研修を行い、留職者ご自身が留職期間中に取り組みたいこと、チャレンジしたいことについて一緒に考え、目標設定のサポートをします。

そして、留職が始まってからは、現地に始めの1週間同伴してスムーズな現地業務開始をサポートし、その後も週次で留職者とスカイプでミーティングして、現地で留職者の方が得た学びや悩みを考え、深めていくサポートを行います。

留職者が現地業務から戻られてからは、事後研修として、現地で得た学びや経験を本業でどう活かしていくのかを一緒に考え、最後に留職者の方が帰国報告会で、職場の上長・同僚の方々へ留職で得た学びを報告するところまで、留職者の最も身近な応援団として、サポートを続けていきます。

このように、留職プログラムの始めから終りまで留職者の方の隣を走り続けるので、私たちはプロジェクトマネージャーを留職者の「伴走者」と呼んでいます。

隣を一緒に走りながら、留職者の方がどんな悩みや苦労にぶつかり、それとどう向き合い、どう乗り越えてきたかを一番近くで見ているので、幾多の困難を経て留職者の方が留職プログラムを走り切った時には非常に感動しますね。

留職者の方たちが得た気付きによって、私自身も多くのことを学ばせていただいていると思います。

私は趣味でマラソンやトライアスロンをしているのですが、人が走り切った時の感動は、自分が完走した時以上! それくらい、人の成長に関われることが好きですね。

留職プログラムを通じて、留職者の方たちにどんな風になって欲しいですか?

留職者の方それぞれ、得られる経験も学びも違うところが留職プログラムの一番素晴らしいところで、私の仕事は、それらを深めたり伸ばしたりするところを伴走者としてどう支援できるか、というところだと思っています。

ですので、私から何かを押し付けることは絶対にしたくありませんが、個人的には、留職を通じて結果としてそれぞれのやり方で、「日本らしさで世界に勝負」していく方が増えていったら良いなと考えています。

私自身、これまでの留学や海外での仕事経験を通じて、日本は素晴らしい国だと強く実感してきました。

国際競争が激しくなる中、日本の国際競争力の低下が叫ばれていますが、そういう中だからこそ、日本や日本人が大切にしている価値観を世界に問いかけていきたいですね。

そのためにも、日本の良さや価値をわかったうえで、世界で勝負しようと思う人たちが必要です。

留職プログラムでは、日本のビジネスマンや技術者の人に新興国の現場で修羅場体験をしてもらいます。

何もかも新しい世界にたったひとりで飛び込むところから留職が始まるわけですが、留職者の方々が仕事をする上で、拠り所のひとつとなるのは日本での働き方だったりするのです。

たとえば、仕事を丁寧にする、約束を守る、その場しのぎではなく本当に良いものを作ろうとするなど。

こういった姿勢が、文化の違いを超えて、留職先の団体のメンバーに共感や感銘を与え、それがブレイクスルーの一つのきっかけになる場合もあります。

留職プログラムを通じ、日本では当たり前だと思っていたものが、実は世界で戦う上での「武器」になるという気づきを得て頂くきっかけのひとつになれば素晴らしいなと思います。

reDSC08009

ここではない、どこかはない。

公共機関、民間企業、そして現在はNPOで働かれていますが、さまざまなセクター・組織を経験されたことで学ばれたことを教えて下さい。

色々な組織を渡り歩いてきて、一番感じるのは、月並みかもしれませんが、「結局自分のいる場所で自分の役割を一生懸命やるしかない」ということです。

私の好きな言葉で、「ここではない、どこかはない」という言葉があります。

今の環境からどこか別の場所に移れば理想的な世界が広がっているわけではなく、どんな場所でも大変なことはあるし、移ってみて初めて前の組織の良かったところがわかることも。

自分のやりたいことを突き詰めた結果として組織を移るのは良いと思いますが、実は、どこに行っても本質的にやることはあまり変わらないのではと感じています。

また、NPOに入るという決断をしたことで、周りの方々から「全く違う分野に飛び込んだね」と言われることもありますが、私の中ではそう思っていません。

自分の中で本当にやりたいことを選んだら、結果的に今の組織になっただけで、今までのキャリアと繋がっているのです。

企業からNPOで働くという道は依然としてキャリアの分断と捉えられることが多いですが、実際に働いてみて、求められるプロフェッショナリズムや、仕事のパートナーとの信頼関係の築き方等含め、これまでのキャリアで学んできたことを更に深めていくことが求められる局面が本当に多く、全く分断ではなくむしろ連続しているなと感じることが多いです。

クロスフィールズの事業がもっと発展していくことで、企業とNPOの間でもっと自由に人材が交わりあいながらキャリアを作っていくあり方が選択肢のひとつとして社会により広く認知されることにもつながっていけば良いなと考えています。

中山 慎太郎さんのプロフィール

中山 慎太郎(Shintaro Nakayama)

NPO法人クロスフィールズ / プロジェクトマネージャー

2006年一橋大学法学部卒業。国際協力銀行(JBIC), 国際協力機構(JICA)、三菱商事株式会社にて特に中南米(チリ、ペルー)のインフラ開発に従事した後、2014年12月にクロスフィールズに参画。

クロスフィールズが展開する「留職」プログラムのもと、アジアの新興国各国で活動する留職者の伴走者となり、国内外を駆け回っている。

取材・ライター

ABROADERS 代表

濱田 真里/Mari Hamada

海外で働く日本人に特化した取材・インタビューサイトの運営を4年間以上続けている。その経験から、もっと若い人たちに海外に興味を持って一歩を踏み出してもらうためには、現地のワクワクする情報が必要だ!と感じて『週刊アブローダーズ』を立ち上げる。好きな国はマレーシアとカンボジア

このノートに関連するタグ

Ambassadorのプロフィール


濱田真里

海外で働く日本人に特化した取材・インタビューサイトの運営を2011年から続けている。その経験から、もっと若い人たちに海外に興味を持って一歩を踏み出してもらうためには、現地のワクワクする情報が必要だ!と感じて『ABROADERS』を立ち上げる。好きな国はマレーシアとカンボジア。

濱田真里さんが書いたノート


カンボジア に関するノート