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生後11ヶ月、娘の急死:ミャンマー人お母さんの後悔

Posted on 2018年03月20日
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「うちは、旦那と私と3人の子どもの5人家族よ。本当は6人家族だったんだけど…。


2009年に次女が亡くなってしまったの。」


そう言って、その時のことについて語ってくれたのが今回の訪問先のお母さん。


次女は生後わずか11ヶ月で亡くなってしまったそうだ。


何が起こったのだろうか。

訪問先のスラム

今回訪れたのは、ミャンマーの最大都市ヤンゴンの郊外に位置するミンガラドンという地域。


この地域のメインストリートから、10分ほど車を走らせたところに今回訪問した家庭がある。


お宅におじゃましてみよう。


「こっちよ。」とお母さんに案内された先には、3軒の家があった。これら全て、お母さんの持ち家である。


冒頭でも述べた通り、この家庭はお父さんとお母さん、子ども3人の5人家族。


しかし、本来ならば6人家族のはずだった。

次女に何が起こったのか。

公立病院:ヤンゴン小児病院(出所:Wikipedia)


2009年に、次女を亡くしてしまったこの家族。


一体、何があったのだろうか。


▶︎ 泣きも喚きもしないが、なんか変?


2008年、次女が健康体で生まれ、順調に成長していた。


生後10ヶ月ほどが経過したとき、風邪のような症状が出たという。


しかし、症状が軽かったため深く考えず、体に優しいものを食べさせていた。


ところが、1週間ほど続いたので、最寄りのクリニックに連れて行った。


ちなみに、クリニックでは1つの風邪や病気で、1週間に3回ほど受診するのが一般的だそうだ。


処方された薬の効き目を確認するためである。


診察料は1回当たり約3,000チャット(約300円)とのこと。


 


▶︎ クリニックからの指示を…


クリニックで診察を受け、薬は処方されたものの、より大きな公立病院に連れて行くように指示された。


しかし、薬を飲んで、ご飯も食べることができる次女の様子を見て、「公立病院には連れて行かなくても大丈夫」だと思ってしまった。


ある朝、お母さんが目を覚ました時、次女は口から泡を吹いて意識を失っていたそうだ。


急いで公立病院に向かったが、既に遅かったという。


 


▶︎ 診察料は無料?


公立病院に連れて行かなかったのは、経済的な理由ではない。


ミャンマーの公立病院は、寄付という形で5,000チャット(約500円)ほど支払うのが一般的。


だが、診察料は基本無料で処方される薬も高価なものは少なく、医療費が高すぎて利用できないというわけではない。


 


▶︎ 次女が患った病気とは。


次女が感染していたのは、髄膜炎(ずいまくえん)という感染症だった。


これはミャンマー特有のものではなく、世界中で感染のリスクがある。


乳幼児期と10代後半に感染・発症するケースが多い⑴。


そして、風邪と同じような症状のため、早期の発見が難しいと言われている。


治療せず放置した場合、50%の確率で死に至ってしまう⑵。


予防ワクチンはあるが、ミャンマーも日本も接種は任意となっている⑶。

救えた命:お母さんの後悔と教訓

お母さんは、後悔と経験から得た教訓について、次のように話してくれた。


教訓:体調に異変を感じたら、医者にすぐに相談する


「娘は泣きも喚きもしなかったけど、小さな変化にもっと敏感になって、早めにクリニックに相談すべきだったわ。」


教訓:医者の指示を軽視しない


「クリニックの指示を信じて、すぐ公立病院に行ったら助かっていたかも。自分で判断しないことが大切よね。」


病気に対する意識が不十分だったという後悔が大きいようだ。


現在、お母さんは3人の子どもを育てている。


次女のことがあって、病気に関してすごく敏感になったという。

まとめ:最低限の知識が大切

お母さんの話から、病気についての簡単な知識を持つことが大切だと感じた。


病気に関する知識が全くなければ、ただの風邪だと思い込むことが増えてしまうだろう。


お母さんがまさにそうだった。


決して詳しく知っている必要はない。


「髄膜炎という感染症があるらしい。乳幼児にかかる可能性がある恐ろしい感染症らしい。」というような簡単な知識があったとしたら、次女は助かっていたのかもしれない。


ちなみに、日本のお母さんたちは、出産後や育児中に予防接種に関するパンフレットもらったり、説明を受けたりすることが多い。


そのため、髄膜炎についても聞いたことがある人がほとんどである。


今回のインタビューでは、子どもを亡くしてしまったという家庭に初めて話を聞くことができた。


医療サービスを受けられないことが原因かと思いきや、実は知識の不足が大きな要因だった。


先進国より医療技術が遅れている途上国だからこそ、むしろ個人の知識が大切であると感じたインタビューだった。 


<参考文献>


⑴国立感染症研究所 病原微生物検出情報 月報 Vol.34, No.12(No.406)


⑵WHOホームページ


⑶横浜市衛生研究所


取材協力:Socio Lite Foundation

経験した日: 2018年03月19日

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リンクルージョン

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