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住み始めて5年。ついにバングラデシュで「キニティウ」という学校の運営サポートを始めました!

Posted on 2019年04月26日
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バングラデシュに初めて来てから9年、住み始めて5年が経ちました。大学では映画制作を学び、課題のドキュメンタリー制作を機に出会い、好きになった国……。


 


この地で、私と同じ系統の日本人にはほとんど出会いませんでした。お会いする方みんな、ビジネス感覚に長け、プレゼンテーションやコミュニケーション能力に優れていて、英語も当然話せる。そして、何よりそういったスキルを活かして途上国に貢献する活動に信念をもっている方々です。


一方、私と言えばビジネス感覚は乏しく、口下手で、英会話もできず(だから、現地語を話せるようにはなった!)、マイペース……そんな私は現地で優秀な日本人の方々に会うたび、不思議がられ、また認められていない感もひしひしと感じてきました。それが悔しくもあり、でもそんな野良猫スタイルの自分でも良いと言ってくれる方々もいて……。


 


なぜかこんな心境を打ち明けてしまいましたが、それもこれも、こんな私が、ついに学校運営を始める地点に辿り着いたのです! 以前からのひとつの夢で、去年移動映画館を開始したように、まさに「今だ」とタイミングを感じての船出でした。


 


 

1.現地団体、チョトベラ ワークス

2018年、移動映画館を始めるタイミングで立ち上げた現地団体「チョトベラ ワークス(ChotoBela works)」。ChotoBela はベンガル語で「子ども時代」の意です。この名前は、バングラデシュのすべての子どもたちのチョトベラが豊かになることを願い、教育機会の乏しい境遇や辺境地に生まれ育つ子どもたちでも、移動映画館やアートワークからさまざまなことを経験し、夢や可能性を広げられるように努めていこうという想いでつけました。


それ以前も、現地で映像や写真集制作、災害時の緊急支援や冬期の衣類支援、映画祭など……色々なプロジェクトを個人名で細々と続けてきました。こんな私でも、信頼してくれる方々がいたことで、多くの困難も乗り越えてこられたように思います。


 


 

2.学校運営、始まる

そんな私たちチョトベラ ワークスが、現地で学校運営を開始したのです! 校名はキニティウ・シシュ・ショドン。シシュ・ショドンはベンガル語で託児所の意で、「キニティウ(Kinithiw)」が学校の名前です。


学校の運営が容易でないことは、この国・地域と関わってきたことや、また先輩方からの話を聞いてきて、理解しています。それでも実現に向けて動いたのは、去年多くの現地友人たちがボランティアとして活動を手伝ってくれて、今では ChotoBela works の活動を広げていこうという志を共にする仲間がいるからです。


 


キニティウはバングラデシュの南端バンドルボン県にある、クミ・ムロという少数民族の子どもたちが通う学校です。全土の子どもたちのために活動することを目標とする私たちですが、この国でのクミ・ムロ族の存続危機も将来的にある中で、彼らにバングラデシュの一部として生き続けてほしい、彼らの中からも未来のバングラデシュを文化・環境の面で彩る存在が生まれてほしいという願いで、まずこの一校を運営していきます。


写真は、3月26日のバングラデシュ独立記念日に行ったプログラムの一風景です。同じく行った移動映画館(リンク)運動会 (リンク)の様子も、よければご覧ください。


 


 

3.アムラ コルボ ジョイ

3月26日、アムラ コルボ ジョイは、バングラデシュの独立記念日です。


私がこれまで寄り添ってきた少数民族の人々(特に村人)は、バングラデシュの国家的祝日を積極的には祝いません。多数派と文化や宗教が違うという理由もありますが、その日を「少数民族にとっては不幸が始まった日」と捉えている大人世代が、少なくないからです。イスラム教圏の国ではなくインドかミャンマーに属していたなら、少数民族でさえなかったら、バングラデシュ政府と内戦することもなかった……なんて、お酒の場や村の片隅での雑談に耳を傾けてきて、そう思いました。


「日本は平和な国だから、お前には分からない」と反感を買ったこともありました。数年間この場所で過ごし、そんな歴史も、根付いてしまった当事者世代の考えも、私には変えられません。


チョトベラ ワークスを始めた背景には、そんな事情もあります。憎むことは辛いし、憎んでも変えられない。でも、これからの時代を生きる子どもたちにはポジティブで、自分を貫きながらも生き抜く感性をもってほしいと願っています。そのため「3月26日」は、ムロ・クミ族の子どもたちが集うこの学校でも、あえて独立記念日のプログラムを行ったのです。


世界中で歌われている『We Shall Overcome』 のベンガル語バージョンを歌いながら村を練り歩きました。


 


 

4.食事

運営する学校に行く途中、10kgの鶏を買いました。夕方BBQをするために、自分たちで鶏をさばきました。驚くことに、こちらの子どもたちも当たり前のように鶏をさばけます。


写真はだいぶ後半の行程です(これ以前の画を載せて、読者の皆さんに不快な想いをさせたらいけないと思い省きましたが……私は、命をいただくならば、生きているところから見るべきだという考えです。今は、こういう時でもなければお肉自体いただきません)。


この学校の生徒に限らず、このあたりの子どもたちにとって、お肉を食べられる機会は月に一度あるかないかです。ふだんは主に米とジャガイモカレー。それに時々、捕まえたカエルを直接火にかけて食べることも。


この日、実は日本から私の父が来ていました。父が渡航する時に、父の親しい方が餞別にくださったお金で、この日お肉とBBQを堪能させてもらいました(この場を借りて、ありがとうございます!)。そうそう、学校に調理担当の職員を雇うこともできました。それは、バングラデシュHONDA社の素晴らしい方のご支援です。


 


 

5.ウォーターサプライ建設中

学校校舎から20分ほど丘陵の道を下ると水辺があり、キニティウのみんなはそこで水浴びをしたり日々の飲み水を運んだりしています。


子どもたちも私たちも、水浴びに関してはワイルドで楽しいと感じていますが、飲み水に関しては改善をしたいと思っています。桶や使い古して茶色く変色したペットボトルで水を運ぶ毎日。またその道中、転んで怪我などすることにも耐えられません。


学校のある場所には電気もまだ通っていません。課題が他にも山積みの中、私たちは最も大事だと思う水道の建設を始めました。それも実は、2月に女子プロレスラーの友人たちがバングラデシュの少数民族地域(チッタゴン丘陵地帯)にプロレスを披露しに来てくれたことで、そのプロレス(PURE-J)サポーターの方が資金を応援してくださったことで叶いました。繋がりの力に感謝です!


【過去記事】日本女子プロレス団「PURE-J」がバングラデシュに参上!現地で生のエンタテインメントを見せる国際交流


 


 

6.ハチに刺されて!絵のアイディアが浮かばなくて!涙する子どもたち

ワイルドな暮らしをしていても、抵抗力がふつう以上にあるわけではありません。伝統治療や旧くからの知識が美しく思われる時もありますが、ハチに刺された箇所に灰を当てて治そうとしたり、火傷に油を塗るというアイデアを聞いた時は情報のアップデートが必要だと思いました。


また「好きなものの画を描こう!」となった時、何も描けない子もいました。好きなものが思い浮かばなかったのと、そもそも描き方が分からなかったようで。最終的に、ウジャニ(団体メンバーのチャクマ族の女の子)が卵をひとつ描いて色を塗って見せたところ、同じように描いていました。


 


 

7.新しくネームボード作成中

現在全生徒は45人、寄宿生が25人のキニティウです。チャクマ族のフォトグラファーの男の子がボランティアで来てくれて、みんなの写真撮影をしてくれました。素敵なボードができたら、皆さんにも見ていただきたいなと思います!


 


 

8.映像制作とハンディクラフト事業

今回は、チョトベラ ワークスとキニティウの紹介で、プログラムや出来事、ありがたいご支援などを報告する形となりました。そもそも学校運営に立ち上がったのは、現地の仲間と映像制作を仕事としてやっていけそうな兆しが見えてきたからなのです。


まだまだ未熟な私たち団体ですが、今後、これらの運営を映像制作と、現地の少数民族が作るハンディクラフト事業等で頑張っていきたいと思っています! ご依頼、ご支援、ボランティア、助言等、何でもいただけますと幸いです!


 


 

経験した日: 2019年04月26日

Ambassadorのプロフィール


NatsumiA

1985年生まれ、青森県育ち。日本大学藝術学部映画学科在学時に、ドキュメンタリーの課題制作がきっかけでバングラデシュを訪れる。卒業後、映像制作会社の勤務を経て、2014年より単身でバングラデシュに暮らし始める。主な活動地は、チッタゴン丘陵地帯や国境沿いの地域で、少数民族と深く関わり、写真・映像制作を行っている(ドキュメンタリー作品『One Village Rangapani』【国際平和映像祭2015 地球の歩き方賞 および 青年海外協力隊50周年賞受賞】、写真集『A window of Jumma』【クラウドファンディング】など)。現在は、ロヒンギャ難民キャンプにも活動を広げ、ChotoBela works という現地団体を立ち上げ、バングラデシュの子どもたちの "子ども時代 / チョトベラ" を豊かに彩ることを目標に、移動映画館(World Theater Project バングラデシュ支部代表)、アートクラス、カメラ教室、スポーツデイなどを開く。また、バンドルボン県で、クミ族とムロ族の子どもたちが寄宿するキニティウという学校をサポートしている。

NatsumiAさんが書いたノート


バングラデシュ に関するノート